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【機械屋トラクタ目利き塾】
トラクタハイドロリック(油圧)システム 前編
- (株)菊池鉄工所 代表取締役社長 菊池治樹
- 第9回 2006年11月01日
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農業用トラクタに不可欠な高機能化を実現したシステム
今月から2回にわたって、トラクタの 油圧システムについて紹介していきた い。農業用トラクタの最も特徴的な部分 として油圧システムの存在が挙げられる が、トラクタの機種や時代によってその 構造は異なっている。しかしながら、油 圧ポンプにより圧力の加えられたオイル (作動油)が、コントロールバルブを介し て油圧ラム、シリンダーへ圧送され、3 点リンケージ(現在標準的なヒッチ)によ ってインプルメントを上下させるという 一般的な作動原理には変わりない。
この場合、油圧操作レバー(スイッチ) の作動により、上昇、中立、下降の3つ の状態に制御できる。このレバーの動き によってコントロールバルブが動かさ れ、オイルの回路を切り換えるからであ る。
これらの油圧システムを装備したこと により、トラクタはけん引して走るだけ の車輌というカテゴリーから、数段飛躍 した手足をもった精密マシーンへと変化 を遂げた。我われの手作業並みの精密な 操作を、高能率的にインプルメントを取 り付けて処理していくという、現在の農 業用トラクタになったわけである。現在 大抵のインプルメントは、リアの3点リ ンケージに取り付けられるが、より高馬 力のものはフロントに3点リンケージ及 びPTOを装備し、リアとフロントの同 時作業を可能にしている(例えばリアで プラウを装備し、フロントにプラウ用の プレスを取り付けたり、リアにシードド リルを装備し、フロントに施肥機を取り 付ける等々)。それらは作業の高能率化 や燃料消費の節約に役立っているわけで ある。
知っておきたい油圧システムの基本原理
簡単な油圧システムでは、ストレーナ ーを介してミッションケースからポンプ にて吸入したオイルを高圧にして、ラム シリンダー(油圧ピストン)へ送る仕組み になっている。
送られた高圧オイルはシリンダー内 のラム(ピストン)を押し上げ、そのピス トンの動きが上昇する動きに変わってくるわけである。図1に示すようにポンプ により高圧となったオイルは、コントロ ールバルブを介してラムシリンダー(ピ ストン)へ送られる仕組みとなっている。 コントロールレバーが上げ位置にセット されている時は高圧のオイルはシリンダ ー内のラム(ピストン)に圧送され、ラム と接続されたクロスシャフト(リフトア ーム)によってリンクを持ち上げる仕組 みとなっている。
再び下げ位置にレバーをセットする と、ラムシリンダー内のオイルはミッシ ョンケース内のリザーバー(オイル溜ま り)に戻るようになっている。そのとき インプルメントは自重によって下降す る。またリリーフバルブは油圧システム の限界を超えるような場合、速やかにオ イルをリザーバーに戻し、システムの損 傷を防ぐようになっている。
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菊池治樹 キクチハルキ
(株)菊池鉄工所
代表取締役社長
上智大学哲学科卒業後、家業の(株)菊地鉄工所に入社。同社は大正4年創業の老舗鉄工所であったが、入社当時、顧客の大半が酪農家であったため彼らのニーズに応えるべく外国メーカーを研究、入社と同時にジョンディア社商品の取扱いを開始する。現在、その細やかなサービスが県内外の大規模畑作経営者から支持され、遠く離れた県からの受注も多い。
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