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リレー訪問 農場に勤める誇りと夢

農業の実情を世間に伝える・・・の巻

各地の農場には優秀な若手が勤務している。数ある職場のなかで、農場に勤めることを選んだ彼らは、農業や勤める農場をどのように見つめ何を感じているのか。リレー訪問第6回は、前回に引き続き、(株)ピーチ専科ヤマシタに勤める吉野友裕氏と(有)アトップに勤める中村敏三氏の対談を紹介する。
吉野 中村さんは、工業出身とうかがいましたが、就農してみて農業の印象はどうでしたか。

中村 農業には他業種から人を入れたがらないような、閉鎖的なところがあるように思いますね。個々の農家がお互いにライバルとして切磋琢磨しているわけですので、そういった反応になるのも仕方がないのかもしれませんが……。

吉野 私も、もともと農家でないところからの就農ですが、確かに閉鎖的な感じはありますね。私自身についても、今の会社で働いているからこそ、地域で認めてもらえている部分があるように思います。

中村 どうしても若い世代と今までの世代の農業にはギャップがあるんですよね。例えば、農地の取得も難しいですよね。代々農家をやってきたところは、赤の他人にまかせるより、血のつながった誰かに継がせたいのが本音でしょう。その思いもわかりますが、このままでは、農地は個人資産ですので、土地の取得が困難なままです。農地法を改正して、やる気のある若い人に、スムーズに農地が提供されるようにしていった方が良いのではないでしょうか。

吉野 同感です。これまでの農業を見直して改善してほしいところはいろいろとありますね。

中村 農業をやりたいという人に対して、あまりに閉鎖的だと、さらに後継者が不足する状況にもなりますし、結果的に産業として農業が生き残ることも難しくなると思います。むしろ、地域のみんなで協力しあって新規就農者を助けるくらいの方が、農業を発展させられるように思います。

吉野 そうなってくると就農希望者も増えてくるでしょうね。

中村 それと、従業員の採用を担当していて改めて気付いたこともあるんですよ。私がそうだったように、一般には、農業といえば栽培というイメージですが、農業法人では分業化も含めて、より企業化していく方向に進んでいます。ここで、農業法人と就農希望者の間で、農業に対する認識にズレが生じています。農業法人の内情がこれまでの農家と違うということが、一般の人にはまだまだ伝わっていないんですね。

吉野 実際、面接するときにはどのように対応しているんですか?

中村 面接の際は、うちは分業化していて、栽培に携われないかもしれないことを隠さずに伝えます。それでもいいのかと。「それでもいいからやりたい」という人なら、入社後に「こんなはずじゃなかった」と思うことは少ないでしょう。

吉野 就農希望者の大半は、面接で初めて農業法人がどうなっているのかを知るんでしょうね。

中村 そうですね。場合によっては、面接の前に、まず半日くらい見学してもらって、農業法人の概要や仕事内容などを説明します。そして、果樹や酪農の場合では、うちとはまた違うよということなどを説明して、農業にもいろいろあるんだと伝えるわけです。最初は、ここまでで帰ってもらいますが、ここまでわかった上で、「やはり農業がやりたい、野菜が作りたい、アトップに勤めたい」という思いがあるなら、後で面接に来なさいと伝えています。

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