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エクセレント農協探訪記

熊本県・太田郷農協

農協王国の九州でも、熊本は農協パワーが圧倒的に強い土地柄で知られる。その熊本にあって、信用事業で独自路線を行く実にユニークな農協がある。八代市内にある太田郷農協である。この農協は、数年前に定款を変更して、信連以外の民間金融機関へ農協貯金を広く運用する道をつけた。このことは、熊本県の農協関係者の間でもほとんど知られていない。農協系のメディアは絶対に触れようとしないテーマなのだ。太田郷農協が独自の資金運用をやっていることが、農協界で広く世間に知れ渡ると、系統信用事業が一気に壊滅しかねないインパクトを持っているのだ。
 農協王国の九州でも、熊本は農協パワーが圧倒的に強い土地柄で知られる。その熊本にあって、信用事業で独自路線を行く実にユニークな農協がある。八代市内にある太田郷農協である。この農協は、数年前に定款を変更して、信連以外の民間金融機関へ農協貯金を広く運用する道をつけた。このことは、熊本県の農協関係者の間でもほとんど知られていない。農協系のメディアは絶対に触れようとしないテーマなのだ。太田郷農協が独自の資金運用をやっていることが、農協界で広く世間に知れ渡ると、系統信用事業が一気に壊滅しかねないインパクトを持っているのだ。


三分の二ルール変更


 筆者が、太田郷農協のことを知ったのは、確か住専問題に関連して放送された民放テレビの報道番組であった。その時、太田郷農協の大胆な資金運用の実態が紹介されたのだ。これは十分に驚きだった。経済事業では、経済連との取り引きを減らして、商人系業者との取り引きを増やす農協が各地に増えてきている。ついに信用事業でも同じ動きがようやく出てきたものだと感慨深く見ていたことを思い出す。

 太田郷農協は米やイグサなど兼業農家の正組合員が450人のちっぽけな農協である。タイプとしては、どちらかといえば金融が売り物の準都市型農協である。同市内には太田郷と、八代地域、鏡の三農協があって、熊本県と県農協中央会は広域合併を促しているが、太田郷は頑として合併に応じないのだ。その理由は簡単。末原勝實組合長によると

 「特に私のところでは突出した内部留保があるというのを組合員は皆承知しているもんですから、広域合併に応じてそれを(他の農協が出した損失のために)処分することについての了解がどうしても取れないんですよ。それでいつも合併参加を見送っているわけですよ」

 名指しされたのは八代地域農協のことである。この農協は、これまでにも合併を繰り返してきたが、経営がいっこうに改善する気配がないのだ。きちんとしたディスクロージャー(経営内容の公開)がなくても、組合員はみんな知っているのだ。それでますます太田郷農協は独自路線を強めることになる。

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