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【世界の農業機械・資材トレンド】
アメリカ、オーストラリア、オランダ、フィンランド、南アフリカ
- 編集部
- 2007年03月01日
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アメリカ 垂直的アプローチの耕うんシステム
カルチベータの耕うん方式は様々だ。カンザス州のグレート・プレーンズ・マニュファクチュアリング社では「ターボ・ティル」と呼ぶ新たな耕うんシステムを開発した。
ターボ・ティルの基本的な設計原理は、垂直回転方式である。縦断面ごとに土壌深部を耕し、同時に土壌表面にできる乱れを最小限に抑えられる。一種の不耕起栽培の技術であると、皮肉をこめて表現する者もいる。
同社によると、新システムのセールスポイントは、耕うんディスクに施した溝。この溝は、ディスクの土壌進入時には地表面に対して直角だが、土壌中から出る際には地表面と平行になるよう設計されている。このためディスクの回転とともに、効率よく土壌を耕うんすることができる。このディスクは圃場の作物残渣がどんな頑丈な茎でもあっても、U字型に折り曲げることなく薄切りにしてしまう。この結果、土壌に水が浸透しやすくなり、残渣の切断面もきれいで、ディスクを装着させるアームとアームの間の土壌も深部までよく粉砕されるようになった。
ディスクの後ろに控えているのが指状に広がるロータで、残渣と土壌の混合物を深さ10cmまでかき混ぜる。さらに軽量のクランバローラが土壌を均平にし、土塊を破砕する。残渣を粉砕しきってしまうので、後から粉砕機や残渣処理機など強力な耕うん機をかけずに済むのも特徴だ。
機体モデルは、作業幅が3.6m、5.2m、6.1m、9.1m、12.1mの中から選べる。必要馬力数は約30馬力で、推奨前進速度は時速11~13km。このような高速運転にも対応可能で、むしろこの速度で最大の効果が出せるという。
オーストラリア 600馬力の巨大トラクタ
クィーンズランド州の農家で農業機械の製造も手がけるデヴィッド・トリィビリョン氏は、何でも「大きく」考える。結果が誰にでもはっきりわかるからだ。
バナナ市にある農場の作業場で、彼が30年前に作った600馬力のトラクタを例に見てみよう。これまでの30年間、この巨大な緑色の怪獣は、通常の耕うん作業から、所有地内にダムを建設する際のショベルカーのけん引作業まで、幅広い作業を担当してきた。実際のところ、全備重量26t、ディーゼルタンク容量3600リットルという数字は、農業機械の世界で前代未聞の大きさであり、本機が初めて登場した時は、まったくの記録破りの存在だった。
トリィビリョン氏は巨大トラクタを製造したいきさつについて、こう語る。
「当時は、このような機械はまったくなかったんだ。巨大な均平機を製作してみたけれど、自分のトラクタではけん引できない。結局友人を呼んで彼のトラクタにフックをかけて引いてもらうことにしたんだけれど、苦労しながら数百エーカー進んだ後で、『本当に大きなトラクタを作ってやろう』と自分に言いきかせたんだ。そうすればひとりでこの仕事ができると思ってね」
機体幅およそ3m、全長7.5m、車高3.6mといった数字も、このトラクタがいかに巨大であるかを物語っている。また、興味をそそる特徴として、90度回転する運転室もある。現在、この怪物が主に担当しているのは、荷の入れ替え作業。23tの荷揚能力を持つクレーンを相棒に仕事を続けている。トリィビリョン氏が持つ農機製造会社、マルチ・ファーミング・システムズ社が陸送する部品も、この怪物によって積み込まれているのだ。
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