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【今年の市場相場を読む】
大型野菜に意外なスキ間が基幹的な需要背景に面白い動き タマネギ・ダイコン・ハクサイ・キャベツ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第17回 1997年02月01日
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ダイコン 汎用品種から専用品種へ 特徴ある地場野菜として
【概況】
ダイコンは大型野菜の代表格のひとつだが、かつて大型野菜の衰退傾向がいわれたものの、市場入荷を見るかぎりは、堅実な動きで入荷の趨勢はむしろ増加ぎみといってもいい。東京市場の場合、冬~春にかけては千葉、神奈川に徳島など西の産地が、夏秋期には東北、北海道が分担している。かつて夏秋ダイコンが関東の高冷地で生産されていたころには、生産者の高齢化や担い手不足で衰退傾向にあったが、ダイコン産地が東北から北海道に移動してから事情が変わった。むしろ増加傾向に転換してきたのである。
【背景】
ダイコンは、昭和50年代になって一大転機を迎える。全国的に、いわゆる「青首ダイコン」が栽培の主流となり、全国一品種状態となる。これによって、ダイコンはいつ、どこの産地から出荷されても同一品質、年間安定した供給体制が確立された、といっていい。この安定性に加え、辛味の少ない柔らかいこのダイコンは、確実に消費のスソ野を広げた。次の転機は、昭和60年に入ってからだ。東北、北海道産地に夏秋ダイコンの大型産地が出現。さらに、年間安定性が増すとともに、甘味が増すなどの食味の向上も図られたのだ。また、水田面積調整による野菜作への誘導からも、ダイコンなどの露地、大型野菜の生産が増勢となる。ところが、ダイコンはまた今、ひとつの転機を迎えている。それは専用品種の台頭である。
【今年の対応】
消費のスソ野を広げ、年間安定性を確保した青首ダイコンは今、その汎用性ゆえにカベにぶつかった。「何にでも向く」特性は、どんな用途にも中途半端という弱点をさらけだしたのだ。ここで登場したのが、ダイコンおろしに向く「辛味ダイコン」、煮崩れしない「煮ダイコン」さらに柔らかくて甘い「サラダ・ダイコン」などが、外食需要者や惣菜メーカーなどの契約を基盤にしながら、各地で増えつつある。地場の伝統野菜としての地ダイコンの復活を含め、いまダイコンは静かなブームとなりつつある。特徴ある地域野菜の品ぞろえは地域展開型スーパーの目玉にもなりつつあり、受け皿も整ってきた。需要側との提携や検討を土台にしながら、特徴あるダイコン作りがいま求められている。基本的な食材なだけに、個性的なダイコンは青首のマーケットを代替するのだ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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