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【今年の市場相場を読む】
大型野菜に意外なスキ間が基幹的な需要背景に面白い動き タマネギ・ダイコン・ハクサイ・キャベツ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第17回 1997年02月01日
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キャベツ 拠点市場ではおかしな動き 大型流通品目から地場品目へ
【概況】
大型野菜の“大御所”キャベツ。業務用での基幹食材であり家庭用としても常備野菜である。しかも、全国どこでも産地があり、地場対応から指定産地まで、大小の生産が散在する。東京市場では、冬場を中心として愛知産が、春には神奈川、千葉産が、そして夏秋には群馬産が一応の主産地だが、この品目は東京都内産も6月には3割近いシェアがあるほど、どこでも作られている。年間を通じてみると、とくに年明けから春に単価が高いのは、品種が春キャベツ系に変わるから。また、夏場にやや高いのは高冷地産地の独壇場となるからでもある。年明けに高いのは、実は関東市場の特徴で、関西市場ではかなり温かくなるまで春キャベツに替わらないため、単価は年内並みである。
【背景】
業務用や加工用でも基幹的な品目だけに、契約栽培や市場外流通も多いが市場入荷量はほぼ変わらず推移している。業務用などの固定需要が存在しているため、数量の増減は相場の安高に直結しており、とくに品薄状態はあまりにも影響が大きいために、大災害時などの緊急輸入があるのもこの品目独特のものだ。だが、このキャベツに関しては、あまり東京市場の相場が全国の建値になることは多くない。各地の市場での相場の動きはそれなりに面白く、冬場などは囲いキャベツが独特の動きをしている。
【今年の対応】
キャベツの市場相場が昨年末あたりから「動きがおかしい」といわれている。市場入荷量が少ない割りには相場が高くならない、というのだ。こうした動きをする品目は、いわゆる衰退品目であるため、市場業者の中には「消費者がキャベツを食べなくなったのでは…」と分析する向きがある。これは大きな間違いである。キャベツは拠点市場から地方への転送が減少している。これは、地場での生産と需要がシステム化しつつあることの現れと見るべきで、大都市市場の集散機能が低下しているのである。つまり、これからキャベツは大型産地を造成して、大型流通させる品目ではなく、地場対応を中心にした流通の割合が高くなってくる品目だ、ということになる。水田面積調整などで新規に野菜生産を導入する農家は、地場の市場などと相談して需要側と提携し、価格等の目安をもって「適正規模」を考慮すべきだ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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