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旅の曲者

アンダーグラウンド

最近よく思うのだが、仕事などで都市の中を移動する場合、地上よりも地下を移動している時間の方が長いように感じる。
 最近よく思うのだが、仕事などで都市の中を移動する場合、地上よりも地下を移動している時間の方が長いように感じる。

 都心であれば、地下鉄と地下道を使えば、たいていどこでも行ける。この頃は大きなビルは地下道から直接、中に入れるようになっていることがあるので、一度も地上を歩かずに、いろんな場所に行けてしまう。そこから地下鉄で郊外の自宅まで帰ってくると、都心に出たという気があまりしない。移動による風景の変化がないから、まるで、ヴァーチャルなネット空間をさまよっているような感覚に陥る。

 ネットの世界が目に見えないように、地下空間の広がりを視覚的に認識する機会はあまりない。地上の世界については、グーグル・マップなどを使えば、大きな都市であれば、かなり細部に至るまで見ることができるようになった。

 しかし、地下空間は目に見えない。都会に暮らす人たちでさえ、地下空間がどのように、どこまで広がっているのか、意識的に把握している人はあまりいないように思う。

 その間にも、地下空間はネットの世界さながらの勢いで広がりを見せている。たとえば、地下街の草分けともいえる新宿や渋谷の地下街は地下7〜8メートルに位置しているが、最近のものになるほどに、当然ながら、その深さも増している。

 東京駅の八重洲の地下街は地下20メートル、国立国会図書館の新館は地下30メートル、大江戸線の六本木駅は地下40メートルにある。あと数十年もすれば、SF小説などにあるように、都市の機能の大半が地下に移管されてしまったとしても不思議はないだろう。

 それでもやはり、地下空間の広がりというのは、感覚的にわかりづらい。東京といえば、ほとんどの人は東京タワーや首都高、新宿副都心の高層ビルといった、地上の構築物をイメージする。地下に広がるもうひとつの東京については、毎日歩いていながらも、それほど意識することはない。

 いや、東京だけではなく、世界の多くの都市についても、われわれは地上しか見てこなかったような気がする。だが、実際には、地下につくられた巨大な空間の方が、逆に都市の機能を支配している可能性だってないとはいえない。ますます肥大していく地下空間を歩くたびに、地下経済、地下組織、地下銀行のように、地上とは別に、地下に張りめぐらされたネットワークが、われわれの知らないところで成長しつづけているのではないかという思いに駆られてしまう。

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