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海外レポート

GM大豆9割の米国から日本の農業を見る

昨年の9月上旬、筆者と2名の読者は米国の中西部のセントルイス(ミズーリ州)およびコロンバス(オハイオ州)周辺の研究機関と農家、ワシントンD.C.を訪ねた。他7人のジャーナリストとともに米国の穀物協会に招かれたものである。トウモロコシ・大豆の生産農家、養豚家、トウモロコシを原料とするバイオエタノール工場、GM開発のトップ企業モンサント社の中核研究機関チェスターフィールド研究所(セントルイス)、非営利の研究団体ドナルド・ダンフォース植物科学センター(セントルイス)、オハイオ州立大学(コロンバス)、そしてワシントンD.C.では政府機関の関係者に米国でのGM技術普及の背景にある国による規制と承認、そのための情報公開と科学的な議論の徹底などについて話を聞いた。(昆吉則)
健康志向の中で支持されるGM技術

【米国のGMの普及と研究】

 遺伝子組み換えといっても日本では、モンサント社の除草剤ラウンドアップ(成分=グリフォサート。日本では日産化学が販売)をかけても枯れない(除草剤耐性を持つ)「ラウンドアップ・レディー大豆」以外はあまり知られてはいない。

 まだ馴染の薄いGM作物について、米国での栽培の現状と開発品種について紹介しよう。

 ミズーリ、オハイオの農村地帯を走ると、そこはどこまでも続く大豆畑である。悔しながら、どこを見ても日本の農村で見慣れた大豆より作柄が良い。草丈は胸の高さまでもあり、がっしりとしている。それも見渡す限り平らにできている。そして、草もない。これが米国の除草剤耐性の遺伝子組み換え(GM)大豆である。穀物地帯を車で走ると、各メーカーのGM種子が使われていることを示す看板が道路沿いの畑に立っている。

 モンサント社が1996年に世界で最初にGM品種としての「ラウンドアップ・レディー大豆(除草剤耐性)」と「ボールガード綿花(害虫耐性)」を商品化してから10年。現在もモンサント社が筆頭メーカーであるが、デュポンに買収されたパイオニア・ハイブリッド社はもともと世界最大のトウモロコシ種子メーカーである。同社のスターリンクの看板も目立つ。このほか、シンジェンタ、ダウ、バイエル、BASFなどのメーカーが、大豆やトウモロコシを含めた様々な作物でのGM品種の商品化または開発を進めており、日本を含めた各国の企業や試験研究機関もその研究・開発を行なっている。

 米国農務省の発表によれば、大豆においてはすでに作付面積の89%にGM品種が使われている(2006年)。同様に綿花の83%、トウモロコシの61%でGM品種が使われている。綿花、トウモロコシにおいてはBT剤に使われる微生物の遺伝子を組み込んだ害虫抵抗性品種。さらに、トウモロコシにおいては上記の除草剤耐性と害虫抵抗性を掛け合わせ両方の品種特性を持つ品種(スタック)の作付けも増えている。

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