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特集

目利き農家のトラクタ選択術

それぞれの目的作業に合わせたインプルメントを搭載し、圃場に耕うん・整地から、播種や施肥など、様々な工程で活躍するトラクタ。経営規模の大小を問わず、農業には欠かすことのないできない機械だが、数あるトラクタの中から、あなたは一体どんな基準で選んでいるだろうか。自らの経営に合わせた機種の選択から、実用上のメリット・デメリットについて、トラクタに一家言を持つ読者に熱く語ってもらった。取材・文/農援隊 後藤芳宏、編集部
畑地転作を支えた高馬力トラクタ 作業工程から逆算した設備投資を

 もともと稲作を営んでいた盛川氏が畑作に転向したのは、1988年のこと。既にコメが余り、転作の流れがあった当時、盛川氏は畑作による土地利用型農業への取り組みを決意したのである。

 今でこそ自作地6.4ha、小作地7.8 ha、全作業受託31.8haと、合計46.5haもの面積を管理しているが、始めた当初は稲作と異なる土壌条件や機械体系に戸惑ったという。

「作土層が浅くて土壌は強酸性。雑草で覆われていたし、これでは、みんな転作しないわけだと思ったよ」

 畑作を推し進めるには、プラウ耕など土作りの基本から手を入れることが必須。稲作では30馬力程度のトラクタで済んでいたが、よりパワーを持ったタイプが求められることになった。

 そこでまず、農協払い下げのマッセイファーガソンMF165を購入。以降も面積を拡大するごとに設備投資を重ね、これまでにホイールタイプだけでも三菱農機MT460、マッセイファーガソンMF365、ジョンディア6210の4機を導入してきた。これらはプラウ耕やサブソイラ耕のほか、播種や鎮圧、堆厩肥の積み込み、除雪作業など幅広い作業に使い分けている。

 原則として中古品を調達しているのが、盛川氏のトラクタ選択術の特徴でもある。中古市場の関係者、メーカー、販売店、経営者仲間の人脈があってこそのルートだが、自分でメンテナンスできる盛川氏ならではの強みともいえよう。

 いずれのトラクタも、圃場の面積、作業工程、作業効率、作業時間、減価償却を最適化するためには、どのメーカー、どの機械との組み合わせがベストなのかを綿密に試算した上での選択である。決して機械ありきではなく、作業工程から逆算された設備投資でなければならないと盛川氏は考えている。


ジョンディアJD6210(90ps)
■購入年/2005年 ■購入価格/407万円
■購入先/菊池鉄工所(茨城県)から中古で購入
■主な用途/畑地のプラウ耕、サブソイラ耕など
■購入理由/20インチ×3連プラウのけん引作業を行なうために、80~100馬力のトラクタを探していた時に本機と出会った。購入先の菊池鉄工所がタイヤの径を大きくしてくれたり、外部油圧取り出しを3連に変更するなど、細かい仕様のリクエストに応じてくれたのもよかった。走行時間が短く、前オーナー(酪農家)の管理状態がよい点も気に入った。ジョディア製トラクタは、ほかのメーカーと比べて車体重量が重く安定しており、エンジン音も心地いい。


マッセイファーガソンMF165(62ps)
■購入年/1988年 ■購入価格/50万円
■購入先/農協から中古で購入
■主な用途/導入当初はプラウ耕に使用。現在は大豆の中耕、培土といった畑地の管理作業
■購入理由/畑作転向のために初めて導入した機種。16インチ×2連プラウのけん引作業のために、60馬力クラスのトラクタが必要だった。払い下げ品ならではの低価格も魅力だった。

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