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読み切り

「農業経営者」実演・シンポジウム再録
野菜の生産と流通が変わる!〈カタログ請求〉付野菜の生産流通のあり方について

野菜流通の行方から、経営戦略を考える

(小林彰一氏)

 昨今、野菜流通といいますと、当然これは野菜の供給安定を根拠にした卸売市場出荷が問題になりますが、市場シェアは80%強に低下しております。

 これは農水省のデータですが、これにはいくつか要因がありまして、たとえば需要者業界の産直への意欲ですとか、もともと運動の基本が産直である生協や、差別化商品が欲しい量販店、業務用需要者、食品産業などが、卸売市場の価格や数量などを考えてかなり前から徐々に産直へ切り替えてきたわけです。

 それから生産構造も変化してきております。いわゆる大型単品産地では、労働力不足や高齢化が進み、生産力の低迷化か進んでおります。それに連動して中小零細型農家では直販型の生産に変わってきております。

 また、今日、塚田さんもお見えになっておられますが、有機農業的なものが増えることで独自な流通が起こる。市場流通に納まり切れないようなものですね。市場取引自体も変化しています。

 たとえば現象的にはセリの割合が低下しております。セリの形よりも、もっと相対(合いたい)的なもの、あるいは証物分離といいますか、そういう生産物の流れに変わってきております。

 それから出荷団体が出荷市場の絞り込みをしております。大型市場へ重点的に出荷しているために、中央市場から地方市場への転送が増えてきています。当然中央卸売市場でも、地方卸売市場でも委託集荷は低下傾向にあります。こういう市場取引の変化も、流通全般に大きく影響してきております。

 それから、産地で直販形態のものが増えている。目立ちますのは系統ですが、この系統が直販をやるようになっています。もともと全農が集配センター持ってやってきたわけですが、これが県レベルでの系統直販が増えています。

 これを実態的にみますと、大型経営者が次第に直販の方へ移行しております。これはある意味では必然的な流れであります。これまでの系統共販の中では、生産者の個というもの、主体性がどうしても均質化され集団化されていたわけですが、農業経営を主体的にやりたいと考える人は自分白身で売りたいわけです。これは精神的にも経済的な意味でもそうしたい。農協に預けたり市場に預けると受渡料を取られることもありますし、こうしたことに異議を感じ始めているわけです。これは大型経営者だけではなく、おじいちゃん、おばあちゃん達の生産意欲にも表われていまして、朝市とか、直売・直販というところへの出荷を前提とするような少量多品目生産という形で、全国各地で増えてきていますが、当然これも市場出荷という形ではありません。

 もう一つのファクターは輸入農産物の増大です。輸入品そのものは昨年で約67~68万t、生鮮野菜が入っております。これに冷凍などを含めますと170~180万t輸入されております。しかも、最近は場当り的に、投機的に輸入されるものが減っていまして、需要者の要望を前提とした開発輸入、これはもともと輸入するために海外で産地開発して産直でもってくるものですが、食品産業や外食産業ではこれが固定化し、かなり計画的に入っています。

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