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読み切り

「農業経営者」実演・シンポジウム再録
野菜の生産と流通が変わる!〈カタログ請求〉付野菜の生産流通のあり方について

 次に、中川さんのお話で、ベースになっているのは馬鈴薯、玉葱、人参の3つです。この3種類の野菜はカレーライスの材料なんですね。日本人の国民的人気メニューですね。そして一般の家庭の台所に必ずあるものです。

 逆に言いますと、こういうベース野菜で商いするというのは非常に難しいわけです。極めて大量に扱うものですから、利幅が薄いわけですね。そこをどうされているか。付加価値を付けるわけです。洗って、小分けをして、小袋に詰めるという作業が付加価値を生むわけです。

 10数年前は800g、1㎏というのが中心だったそうですけど、今は500g、600gが中心になっている。馬鈴薯の方は機械で計量して詰めるので省力化できますが、少量多品目の注文が来ますと手作業になり、合理化も難しくなり、コストも掛かかります。これが課題です。

 塚田さんは、生産者自身による生産物のガイドラインについて触れておられました。生産物の品質基準はだれが決めるのか、これは生産者自身が決めるということですね。そのガイドラインのベースになるものは、出来た作物ではなく土壌の規格だということです。

 また、農生協という組織についてのお話もありました。これは極く小さな地域対応の生活協同組合であり、その中心に農業者が入るというものです。そして流通問題では、広域も狭域もある、産直もある、中央卸売市場もある、多種多様な流通形態を意識的に選択して使っていく時代である、という非常に示唆に富んだご発言を頂きました。

 ところで、品質管理の基準ということについて少し述べておきます。

 ヨーロッパには原産地呼称統制法という制度があります。国が品質基準を決めるのではなく、生産者の団体が規格を決めこれを自分で守ることを前提として、いわゆるAOCという特定の品質保証マークを生産物に付ける、というのが原産地呼称統制法の意味です。

 日本でも農水省でこれと似たようなものを始めますが、政府が決めた基準になるところに問題があります。本当は生産者が自分の裁量で決めて、私の作物はこれこれこういうことでこの基準ですと、自ら決めたことを守っていくことが大事ではないかと思います。

 私は、直接農家が農産物の販売をしていくということは、農業者が起業家(アントルプルナー)になる一番最初の、いわば原形だと思います。自分で作ったものを自分で売ってお金にして、そこで初めて分かるんじゃないかと思います。これは、ずっと農協さんに共販だけしていた人には分からないことです。自分の手で売る、そこに農業者が農業経営者になるための最初のスタートがあると私は確信を持っています。

 皆さん、日本における食糧の需要がどれだけあるか考えて下さい。日本人1億2500万人には1億2500万個の胃袋があります。その胃袋の中に1日3回食物が入るわけですが、その食事は家庭の中の食事と家庭の外の食事に分けることができます。

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