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読み切り

「農業経営者」実演・シンポジウム再録
野菜の生産と流通が変わる!〈カタログ請求〉付野菜の生産流通のあり方について

 こういう輸入品もその目的からして市場外流通ですし、それから原価のあるものということですと、直接商社が需要者に売るというパターンが多くなっております。輸入が増えるということは、ますます市場外流通が増えるということですが、増えるといっても180万t程度です。冷凍馬鈴薯を入れて、後20万t上乗せされる程度です。野菜の総流通量が1700万t前後ですから、それから計算すると1割ぐらいです。

 最近、こうした輸入増大について大変だということをよく聞きますが、いま政府は輸入ガードといって輸入関税を引上げて制限するといいますが、実際の輸入量から見ますとニンニクだとかショウガについては、まだ2~3万tですから大したことはありません。

 確かにタマネギに関しては昨年23万tぐらい入りましたが、ただしこれは道産タマネギの不作が原因でして、道産がしっかりしていれば年間5万tぐらいしか入らないものです。それからカボチャは15万tぐらいですが、これは明らかに役割分担です。役割分担ではありませんが、ブロッコリーが7万tあります。もちろん価格的なダメージは多少ありますが、しかし、すでに国産が7~8万t生産しているところに、まったく上乗せで7、8万t入っている。ですから、これはむしろ輸入品と国産が両方で消費量を押し上げたと考えられるわけです。アスパラガスがまさにそうであります。

 まあ、ガットウルグアイラウンドのことを含めまして、輸入品の自由化が日本の農業をおかしくすると喧伝するのは大いに結構なんですが、政治的にはともかく、皆さん方はこうした知識を一応前提として考えて頂きたいと思うわけです。今の日本では、中央卸売市場を中心とした流通ですから、地方市場はそのすき間を埋めるという考え方でしたが、ある意味でここが変化しています。

 もう一方で、外食産業・食品産業に見られるように、輸入農産物の産直で数量を確保するところは、自分たちは国際生産物ですべて賄いたい、国産は数量的にも、価格的にも、品質的にもあわないから海外生産物でいいということですが、これが国産で対応してくれるなら、大いに歓迎するし、支援していくという動きが出てきているわけです。

 この農地として水田調整面積を当てるのが一番近道ですが、これはある意味で目的別に作る野菜になる。従来の卸売市場出荷を前提とした規格それ自体を見直していくという問題がでてきます。  

 ところで、日本の農産物規格は非常に特異です。市場出荷が一番ですから、それ以外は規格外という差別的な取り扱いになります。しかし、欧州では、スーパー用、レストラン用、冷凍食品用、食品工業用、というように用途別に規格が決まっています。ですから用途別規格には格外というものがありません。

 この点、まだまだ日本の場合は用途別の生産ではありませんが、これからは変わってきます。現に国産トマトであることを付加価値とするジュース製品が出てきています。

 通常の生食用トマトですと、市場価格を考えて、少なくともキロ単価で300円は欲しいということになります。しかし、加工用トマトは違います。生産者はキロ80円で出来るかを考えます。労力とか耕地面積とか考えて適正規模を考えて、つまりコストを前提に適正規模を考えて生産するわけです。

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