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読み切り

「農業経営者」実演・シンポジウム再録
野菜の生産と流通が変わる!〈カタログ請求〉付野菜の生産流通のあり方について

 それから、卸売市場自体の変化ですが一つの根拠としましては、第六次卸売市場基本整備計画というのがありますが、市場のあり方を10年計画で5年ごとに見直していこうという動きがあります。この計画がいままでと非常に違うところは、市場はもっと自由にやりなさいということなんですね。

 たとえば市場に預けたら野菜が8・5%取られる、市場に聞いてみると、いやこれは法律で決まっているといわれる。しかし、よく条文を読むと、この8・5%というのは上限なんですね。それ以上は取ってはいけない、ただし、そこまでは取っていいということです。当然、農水省はちゃんと取りなさいと指導してきたわけです。しかし、ちゃんと取っていたら、消費者にも、生産者にもリスクになるわけです。ですからもっと自由にしなさいということなんですね。

 このようになった背景として、川上の生産者も、川下の需要者業界もすでに意識変革をしてきているのに、その変化に市場が合わせてこられなかったわけなんですね。ですから皆さん方はもっと主体的に卸売市場を使っていけるんだ、と判断して頂いて構わないわけです。

 ただ一つだけ私が申し上げておきたいことは、これから確かに多元化しますがどこが多元化するかといいますと、少なくとも作る人と食べる人、使う人がしっかりとした提携関係の中でものを作り、ものを消費する、あるいはものを売っていくということが原理原則になると思います。

 ではそのパイプはどうするのか。これはもちろん単純には直接取り引きの産直がありますが、今日参加頂いている塚田さん達は、卸売市場機能をもっとうまく使っていこうとしておられる。このことは、非常に象徴的だと思います。卸売市場はいろいろ制度的な制約があり確かに不自由な制度ですが、もう一方から見ますと利用するのに非常に有利な機能を持っているんですね。

 たとえば、大都市圏の中であれだけ広い荷捌きシステムはない。それから加工だとか配送してくれる業者がいる。代金決済にしても、難しい書類を交わさずとも確実に迅速にやってもらえる。

 これまで卸売市場自体が証物一体が原則で、取引するものはすべて現物を市場に持ち込んでいたわけですが、これも緩和される方向にある。ですから皆さんは産直を積極的にされて結構ですが、ただし決済は卸売市場を通すとか、余剰品については卸売市場に引き取ってもらうとか、あるいは場合によっては数量調達をしてもらうとか、そういう機能をもっとうまく使っていくようにされるといいわけです。これを私は提携型市場流通と呼んでいますが、このパターンが非常に経済合理性にかなうと考えるわけです。

 たとえば産直の場合すぐに問題になるのは物流です。どうしても運賃体系が高くなるわけです。しかし、経済連や地元の農協は毎日消費地へ向けトラックを走らせています。特に米の強い県は年がら年中走らせますが、農協が設定している輸送運賃が一番安いんですね。これは県連の考え方にもよりますが、それでもペーパーだけでいいという県連も徐々に増えていますから、系統出荷の形をとり、市場出荷の形をとりますが、実際は産直だという形態がでてくる。これは、生協では「市場産直」と呼ばれていますが、こういう方法もあるわけです。

 それから業務用需要についても、当然多品目ですので、まだ卸売市場の調達経路の割合が高いですが、ここでも品揃えとか数量調整などの機能をうまく使っていくことになると思います。

 今後も流通のさまざまなパターンが生れていくと思いますが、卸売市場機能を積極的に活用していくことが経済性に見合うことになると考えています。

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