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海外レポート

GM大豆9割の米国から日本の農業を見る

この原稿は、昨年8月23日から9月2日までアメリカ穀物協会の招待ツアーに参加した、その時の報告である。同協会は、米国農務省の支援を受け、米国産穀類とその加工品の国際市場拡大を目的にして生産者とアグリビジネス企業が組織する民間の非営利団体である。同協会が筆者らを視察ツアーに招いたのは、米国の穀物生産におけるGM技術の普及とその管理レベルを紹介することと、トウモロコシを原料とするバイオエタノール生産の状況視察が目的であった。エタノール需要増大に伴い、飼料や加工品向けトウモロコシの供給不安や価格高騰の懸念を払拭させようという意図からである。今回は、米国の穀物生産農家にエタノールフィーバーとでも言うべき活況を与えているトウモロコシを原料とするバイオエタノールに関して報告する。(昆吉則)
国策としてのエタノール増産

 まず次ページの表を見ていただきたい。米国でのエタノール生産量は、1999年1月の1701百万ガロンから5833百万ガロンの3.4倍になっており、その増加率も急増している。さらに、建設中のプラント数を見ると、2005年には16箇所であったものが、06年に31箇所、さらに07年3月現在では80箇所となっている。そして、表中では「地域住民出資プラント」となっているが、このデータを作っているRFA(再生可能燃料協会)では、昨年までこの項目を「農家出資プラント」と表記していた。

 そうなのである、米国のバイオエタノールプラントは農家が中心となって出資するものが多数を占めるのだ。米国の穀物農家のビジネスセンスにも注目すべきだが、農業農村を基盤とした米国の国策がそこに表れている。筆者らが偶然目にしたオハイオでの農家集会で、ジョハンズ農務長官が上機嫌に農家にトウモロコシの増産とバイオエタノールプラントへの農家自らの投資を勧める姿こそ、バイオエタノールフーバーともいえる今の米国農業を示しているのだろう。

 ジョハンズ長官はこう話した。

「バイオエタノール用トウモロコシの生産は急増しており、全米生産量の15%になっている。また、農家のバイオエタノールプラントへの投資も各州でフィーバーというべき状況である。エタノール用トウモロコシ生産は今後、20%、40%へと増えたとしても不思議ではないのだ。にもかかわらず、ここオハイオではエタノールプラントが作られていない。ぜひ、エタノール工場を作って欲しい。投資は農家個人の決断によるものなので強制はできない。でも、米国の農業は財政的に良好であり、これからも好調を持続する。躊躇せずに投資して欲しい」

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