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海外レポート

GM大豆9割の米国から日本の農業を見る

エタノール需要の余波

 しかし、こうした米国のエタノールフィーバーについて危惧する声もある。エタノール需要の増大による飼料や加工品仕向けの原料が不足し価格が高騰するのでは、という声である。

 たしかに、米国のトウモロコシの主要市場での農家手取り価格は、04年から07年にかけて20%から25%くらい上昇している。さらに、今後のアジア地域の経済成長による肉食化の進行に伴いトウモロコシの需要増大が見込まれることからこうした不安が出てくることも当然なのである。

 しかし、価格が上がれば作付けも増大する。同時に、現在の除草剤耐性コーンやBTコーンなどの現在のGM技術に加えて、乾燥耐性品種の育種などのバイテク技術の進化によって保障されていく。さらに、エタノールに利用されるトウモロコシは、糖分などの添加によってその蒸留粕(DDGS)を良質な飼料として利用が可能である。家畜に対する給与試験は通常の飼料と比べても遜色がないという。

 以上が、今後の米国農業のトウモロコシ供給に関しての全米穀物生産者協会(NCGA)の説明である。世界のエネルギー・食糧戦略についての意味はもっと深く検討されるべきだろうが、少なくとも筆者には、米国のGM技術のすさまじい進歩と農家たちの生産意欲の高さは、若干の混乱はあっても、米国のエネルギー転換を進めつつ、食糧供給力は維持されていくのではないかと思われた。

 それにつけても、日本の技術の遅れが懸念される。(続く)

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