ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特別レポート

実録 集落営農の犠牲者 岩手県北上市で起こっている「貸しはがし」事件記(7)

4月2日、コメ・大豆などについて、品目横断的経営安定対策の加入申請受け付けが始まった。岩手県北上市の認定農業者・伊藤栄喜氏(59)も手続を済ませた。だが、集落営農組織による貸しはがし被害は依然、未解決のまま。農繁期を目の前に、行政は手をこまねくばかりだ。そんな中、伊藤氏と組織側が同じ圃場内でバッティングする「組田」が、障害として浮上している。互いに作物を踏み荒らしながら耕作という異常事態になれば、そこにはもう「地域の和」など存在しない。(秋山基+本誌特別取材班)
 先月号で書いたように、岩手農政事務所と岩手県は、伊藤氏と北藤根地区の集落営農組織の話し合いの糸口をつかむため、北上市、市農業委員会、北上市農協との調整を進めてきた。
 5者が一同に会したのは3月5日。その席で同農政事務所の担当者は「なんとか解決策を見出してほしい」と述べた。しかし、市は「伊藤氏本人から直接相談を受けていない」ことを理由に話し合いへの参加をためらい、「利害関係が絡んだ個別の問題に立ち入るのは難しい」との見方も示したという。

 たしかに、伊藤氏はこれまで市に相談していなかった。それは普段から市との接触があまりなかったのと、県や農協に相談すれば、市にも伝わると信じていたからだ。

 現に市は県などから情報を得ており、もっと詳しく知ろうと思えば、伊藤氏から話を聞く機会はいくらでもあった。昨年11月27日付農水省経営政策課長名の通知でも、集落営農の設立に伴って「農用地の利用調整が円滑に行われていない事案」がある場合には、実態を把握、報告するよう市に要請している。

関連記事

powered by weblio