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【乾田直播による水田経営革新】
不耕起V溝直播栽培への期待
- コメ産業コンサルタント 田牧一郎
- 第18回 2007年08月01日
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低コストを追求し稲作経営の競争力を強化
コメの価格低下から、競争力のある稲作経営への挑戦が続いている。低コスト栽培はその切り札である。
愛知県では、長年の研究から不耕起V溝直播栽培の技術が確立され、同時にこの技術の普及に関係機関の力が注がれてきた。この技術による作付面積は、愛知県外においても年々増加の傾向にある。
その主な理由は、リスクを伴うものの多くのメリットを持つ新技術を導入し、定着を検討しようとする行政の動きにある。播種機や専用肥料などがセットで導入され、その地方の実態に合うよう改良されていくのであろう。このような取り組みが、競争力ある農業経営の確立に役立つことを期待している。
前回も触れたが、この技術の魅力のひとつは、作業を分散させることである。一人あるいは一農家あたりの移植栽培面積の限界が言われていたが、直播栽培と移植栽培を組み合わせることにより、限界値が大きく上昇した。
また、売れるコメであるコシヒカリの栽培が、比較的容易になったことも大きい。もともと愛知県では倒伏しやすいコシヒカリの栽培は敬遠されてきたが、その問題もほぼ解決された。
移植栽培と比較して収量を落とすことなく、イネを倒さずに育てられることは、生産者にとって大きな魅力となった。
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田牧一郎 タマキイチロウ
コメ産業コンサルタント
1952年福島県生まれ。74年、米カリフォルニア州の国府田農場で1年間実習後、帰国、大規模稲作経営に取り組む。89年、カリフォルニアに渡米、コメ作りを開始する。同時に始めた精米会社で「田牧米」を作り、米国内にとどまらず世界中の良質米市場にブランドを定着させた。現在は、コメを生産しながら、コメ産業コンサルタントとして活躍する。
乾田直播による水田経営革新
乾田直播技術が水田経営を抜本から変える革新的なものと言えるのはなぜか。低関税時代を目前に控えた今、低コスト・省力化を超えたその経営的意義を、すでに同栽培を実践している稲作経営者の取り組みや世界のコメ業界の動向を通して紹介する。
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