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旅の曲者

スピリチュアル・スーパーマーケット

 スピリチュアル・ブーム、だそうである。なるほど、たしかに口が悪くて元気のいい女性霊能力者とか、小太りの男性霊能力者とかが、たまにテレビに出ているのを見かけるが、きちんと見たことがない。だから、編集部のKさんから唐突に「すぴこん」を取材しませんかと誘われたときも、それが最近若者を中心に人気のあるスピリチュアル関係のイベントだとはまったく知らなかった。「すぴこん」とは、スピリチュアル・コンベンション(スピリチュアルの大会)の略で、霊能力者、占い師、ヒーラーやらチャネラーといった人たちが一堂に介して、その場で占ってもらったり、癒してもらったり、前世を当ててもらったりするお祭りのようなものらしい。なんでもこの数年日本全国で開催されていて、テレビや雑誌でもよく取り上げられているのだという。
 スピリチュアル・ブーム、だそうである。なるほど、たしかに口が悪くて元気のいい女性霊能力者とか、小太りの男性霊能力者とかが、たまにテレビに出ているのを見かけるが、きちんと見たことがない。

 だから、編集部のKさんから唐突に「すぴこん」を取材しませんかと誘われたときも、それが最近若者を中心に人気のあるスピリチュアル関係のイベントだとはまったく知らなかった。「すぴこん」とは、スピリチュアル・コンベンション(スピリチュアルの大会)の略で、霊能力者、占い師、ヒーラーやらチャネラーといった人たちが一堂に介して、その場で占ってもらったり、癒してもらったり、前世を当ててもらったりするお祭りのようなものらしい。なんでもこの数年日本全国で開催されていて、テレビや雑誌でもよく取り上げられているのだという。

 Kさんによると、「イスラムを始め各宗教に詳しい真知さんが、この現状をどう見るかについて興味がある」とのことだった。イスラムを始め各宗教に詳しいわけではないが、物見遊山な好奇心もあって出かけてみた。

 会場は幕張新都心にあるホテルの大広間。中に入ると、ブームというだけあって賑っている。大がかりな結婚式のできそうなホールに机が並び、それぞれオーラの撮影とか、妖精による癒し(?)とか、チャネリングやら、タロットカードやら、スピリチュアル・カウンセリングやらのお題目が掲げられたブースがびっしり並んでいる。その数、およそ80種類。スピリチュアルのスーパーマーケットである。この手のことに興味のない人には、けっこう異様な雰囲気に映る。

 各ブースに座っている「霊能力者」たちも、相談をしに来ているお客さんたちも若い女性が圧倒的に多い。小さな子供を連れてきている女性もいたが、中年以上の女性客は少ない。男性はカップルで来ている人が多い。こういう世界は昔からやはり女性の領域なのだなあとあらためて思う。

 ひと通り会場を見物して歩く。あなたの前世を見ます、スピリチュアルなアドバイスします、クリスタルのパワーであなたを癒します、あなたのオーラの色を見ます、幸せの波動を送ってあげます等々、いかにもあやしげな文句が並んでいる。だいたい20分で3000円というのが相場のようだった。安くはない。

 受付でもらったパンフレットをめくると、そこで目立つのは「本当の自分」を探求しましょうといった決まり文句である。自分がいま満たされていないのは、本当の自分に出会っていないからだ、魂の奥にひそんでいる本当の自分を探しましょう。私たちは、そのお手伝いをしたいのです、といった論理である。

 こうした世界に惹かれる人たちの多くは、現実社会の仕組みやヒエラルキーに納得できないものを感じているのだろう。いいかえれば現実社会のヒエラルキーの中では自分の位階が低く、十分に評価されないと感じている。しかし、スピリチュアルな世界では、自分の位階が高くなり、よって自己評価も高くなる。現実社会ではぱっとしないけれど、スピリチュアルな世界では生き生きと充実した気分を味わえるのである。

 だが、個人的に違和感を覚えるのがそこである。スピリチュアルといっても、新たなヒエラルキーを構築して自分を位置づけるという点では、現実社会の論理と基本的に同じである。たとえば、ある人がこちらの会社で部長になれないから、自分が部長になれる別の会社を探すというのと何が違うのか。部長になれる環境を選び取っただけであって、「本当の自分」が部長だったわけではない。

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