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旅の曲者

最強の曲者 最終回

「旅の面白さは曲者との出会いにある」と、この連載の初めに書いた。といっても、ここでいう曲者とは、いわば異文化や他者にふれるときに違和感を訴えてくる様々な事柄という意味だ。曲者との出会いは、それまで自分が当たり前だと思っていた常識や思いこみが揺さぶりを受ける瞬間でもある。それは常識にとらわれた自分の感性をやわらかくしてやるためのチャンスでもある。
 「旅の面白さは曲者との出会いにある」と、この連載の初めに書いた。といっても、ここでいう曲者とは、いわば異文化や他者にふれるときに違和感を訴えてくる様々な事柄という意味だ。

 曲者との出会いは、それまで自分が当たり前だと思っていた常識や思いこみが揺さぶりを受ける瞬間でもある。それは常識にとらわれた自分の感性をやわらかくしてやるためのチャンスでもある。

 では、自分の旅で出会った様々な曲者の中でも、最も手強かったものは何か。もしそう問われたとすれば、真っ先に思い出すのは中央アフリカのコンゴ川で乗ったある奇妙な船のことである。

 アフリカを旅する白人バックパッカーの間でも、その「船」の噂はしばしば囁かれていた。それによると、船はコンゴ河下流の首都キンシャサと、その1700キロ上流の密林の町をむすぶ定期船らしい。しかし、噂は聞いても、この船に実際に乗った者には会わなかった。定期船とは名ばかりで、スケジュールもなければ、片道3週間から1カ月かかるため、滅多にお目にかかれぬ幻の船と化していたのである。だから、たまたまコンゴ川の上流にさしかかったとき、その船の入港に出会えたのは運がよかった。しかし、初めて船を目にしたときには、本当にそれが幸運だったのかどうか大いに悩んだ。それほど想像を絶する船だったのだ。

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