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【江刺の稲】
経営者が農業のリーダーになる時代
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第22回 1997年04月01日
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本号の女化通信(61頁)で、高松さんがバレイショの植付作業を結城市の石川治男さんに作業委託したことを紹介した。ところで石川さんは、山形県庄内地方のKさんともバレイショ作りで協力関係にある。そのきっかけは次のようなものだった。
Kさんは、昨年、農協の紹介で、ある生協に出荷するためにバレイショを4ha作付けした。同時にKさんは、本誌を通じて手に入れたポテトハーベスタのカタログを持って農協や近隣の農機具屋に相談してみた。
しかし「そんなメーカーや機械は知らない」といって要領を得ない。水田地帯であるKさんの地域では、結局、適切な情報は全くと言ってよいほどに得られなかったのだ。
Kさんから相談を受けたのは7月の初旬、もうバレイショの花が咲き始めた頃だった。Kさんからの相談を受けて石川さんに事情を話し、とりあえず石川さんのポテトハーベスタをKさんに貸していただくことになった。
石川さんは機械を貸すだけでなく、トラクタとハーベスタのマッチングや技術指導のためにKさんを訪ねた。ハーベスタを取り付けるための特殊部品の調達も、メーカーに顔のきく石川さんの助言が役立ったようだ。さらに、途中からは出荷先とのトラブルもあって、結局は石川さんの取引業者を紹介することにもなった。そして今年は石川さんから植付機も借りて男爵とメークインを作付けし、石川さんのルートで販売する予定で、Kさんの地域の人々もそれに参加することを考えているという。
石川さんは、困っているKさんに同情したからという理由だけで助け船を出したわけではない。石川さんは、以前から力のある経営者が地域を越えて生産・出荷を共同できる仲間作りを考えており、本誌もその相談にのっていたのだ。そして石川さんには、Kさんがその格好の相手だとも思えたのだ。
むしろ離れた場所にいるからこそ協力関係を持つ価値があるのだ。作業時期もズレるから機械の貸し借りの自由度も高い。訪ねてみると品質の良いバレイショを作る土壌条件であった。
そして何よりKさんの人柄が石川さんが組みたいと思う「目線の合う」人物であることがわかった。Kさんとなら経営観においても協力し合える感触を持てたのだ。
Kさんは、昨年、農協の紹介で、ある生協に出荷するためにバレイショを4ha作付けした。同時にKさんは、本誌を通じて手に入れたポテトハーベスタのカタログを持って農協や近隣の農機具屋に相談してみた。
しかし「そんなメーカーや機械は知らない」といって要領を得ない。水田地帯であるKさんの地域では、結局、適切な情報は全くと言ってよいほどに得られなかったのだ。
Kさんから相談を受けたのは7月の初旬、もうバレイショの花が咲き始めた頃だった。Kさんからの相談を受けて石川さんに事情を話し、とりあえず石川さんのポテトハーベスタをKさんに貸していただくことになった。
石川さんは機械を貸すだけでなく、トラクタとハーベスタのマッチングや技術指導のためにKさんを訪ねた。ハーベスタを取り付けるための特殊部品の調達も、メーカーに顔のきく石川さんの助言が役立ったようだ。さらに、途中からは出荷先とのトラブルもあって、結局は石川さんの取引業者を紹介することにもなった。そして今年は石川さんから植付機も借りて男爵とメークインを作付けし、石川さんのルートで販売する予定で、Kさんの地域の人々もそれに参加することを考えているという。
石川さんは、困っているKさんに同情したからという理由だけで助け船を出したわけではない。石川さんは、以前から力のある経営者が地域を越えて生産・出荷を共同できる仲間作りを考えており、本誌もその相談にのっていたのだ。そして石川さんには、Kさんがその格好の相手だとも思えたのだ。
むしろ離れた場所にいるからこそ協力関係を持つ価値があるのだ。作業時期もズレるから機械の貸し借りの自由度も高い。訪ねてみると品質の良いバレイショを作る土壌条件であった。
そして何よりKさんの人柄が石川さんが組みたいと思う「目線の合う」人物であることがわかった。Kさんとなら経営観においても協力し合える感触を持てたのだ。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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