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【耕すということ】
土層・土壌改良雑感(4)
- 農学博士 村井信仁
- 第22回 1997年04月01日
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北海道での心土破砕機の歴史
サブソイラとパーンブレーカはどのように違うのかとよく質問される。ロールベーラをビッグベーラと言うのと同じように、同一機種であって別に違いはないと答えたいところであるが、そうも言い切れない。
文献を調べても判然としないが、敢えて区別するとすれば、サブソイラは厚密層を破砕し、透排水性を良好にしようとするもので、深い層から施工する。これに対しパーンブレーカは、硬盤の破砕を主眼とし、ウイングを大きくして中層から施工する、ということであろう。
北海道の耕土改善事業で用いられた当初の心土破砕機は、長い間の畜力耕で形成された犂底盤を破砕しようとして、ウイングを広幅にしていた。この時代のものは、パーンブレーカと呼ばれて差し支えないと思われる。
時代を経て、ホイールトラクタの時代になると、次第にウイング幅は狭くなる。ホイールトラクタはけん引力に不足するので、止むを得ない事情とみられないこともないが、厚密層は形成されていても、以前の犂底盤のようなものは見当たらない時代であり、水田の溝切りと同じように、部分施工であっても、透排水性を良好にするために深く施工しようとする動きと考えて差し支えない。ともあれ、表面滞水をできるだけ少なくしようとしている。
昭和50年に入って、ホイールトラクタ用の心土破砕機には、追随型のウイングが開発される。作業始めに速やかに所定位置に貫入し、枕地での引揚げに抵抗なく抜き上げることのできる工夫である。草地では圃場を傷めることが少ないので、極めて好評であった。この追随型ウイングの開発の頃からウイング幅は決定的に狭くなった。
そんなことから、北海道の現在の心土破砕機はサブソイラと言ってよいと思えるし、土層の状態から見てサブソイラを使うべきと言える。ウイングの代わりに弾丸などをけん引し、残存孔で排水性を高めることもあってよい訳である。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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