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自分の畑は自分で診断する

これなら分かる「土と肥料」の実践講座有機質肥料(2)

 大手企業の大工場から出てくる有機廃棄物は、その量がびっくりするほど多いのです。例えば、ビール工場、食品加工工場、薬品工場、デンプン工場、パルプ工場などがありますが、一日に何十tはあたりまえの量であります。そして発生源となっている工場側では、廃棄物の全てを年間通じて持ち去ってもらうという条件であれば相談にも応じるのでしょうが、その中の一部だけ欲しいという話は難しい相談となってしまいます。

 また、少量発生のところは長年それを引き取っている肥料加工業者が契約して処理をしていることから、これも新規参入は困難という話になってしまうケースが多いのです。

 さらに、近年バイオ関連の研究開発が進み、人口皮膚をはじめ多くの素材原料としての有機廃棄物の見直しが進みました。これは医薬品でもその傾向があります。

 つまり、それまでは肥料にしか流れて行かなかったものが、もっと高い付加価値を持つことになり、魚粕のような良質有機肥料、或いはそれ以上というようなランクにあったものが、肥料原料として流通しなくなるということです。

 そのように一部には、経済的な意味での回収率が劣る肥料原料には流さず、他のより金になるものに処理するというものもありますが、しかし、有機廃棄物そのものの量は、日本全体では莫大なものであるので、心配する現象ではないのかも知れません。


乾燥菌体肥料


 そのような高品質の有機廃棄物肥料の中に乾燥菌体肥料があります。

 これは、天然有機肥料に比べてその品質が安定していると考えてよいでしょう。それは、この廃棄物は一定の安定した条件の下で発酵や汚水処理を行なうので、微生物もある種の限られたものとなり、また培養も一定条件下で行なわれるので、品質も一定に保てるということになります。

 乾燥菌体肥料というのは、培養によってビールや調味料、医薬品などを製造する際に働かせる酵母菌などの菌体を集め、加熱、乾燥したものですが、この菌体からさらに脂質を抽出した、その粕とか、あるいは培養した酵母から核酸を抽出した粕を乾燥したものが、まず一つの種類としてあります。

 次に食品、パルプ、ゼラチン工場などからの排水の水質浄化を、微生物処理によっているところから発生する菌体を加熱乾燥したものがあります。流通している銘柄は100種以上あり、これらを発生させている工場は、千葉県から兵庫県にかけての太平洋側に集中して存在しています。保証成分としては、全チッソが5~6%、全リン酸が1~4%ぐらいを含んでいます。

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