ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

農業技術進化系

防除 ピーマンモザイクウイルスのワクチンを開発 高い防除効果に加えて機能性アップの効果も

  • 農研機構 中央農業総合研究センター 生物的病害制御研究チーム 津田新哉
  • 第13回 2008年03月01日

  • この記事をPDFで読む
    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ
ピーマンのトウガラシマイルドモットルウイルスによる土壌伝染性ウイルス病は、全国の主産地で経済的被害を発生させている。このウイルス病に有効な植物ワクチン(弱毒ウイルス)を開発。これは、病気を引き起こすウイルスから病原性(毒性)を取り除いた天然のウイルスだ。これをピーマンの苗に接種して栽培すると、毒性の強いウイルスの感染に対して高い予防効果を示した。
 ピーマンのトウガラシマイルドモットルウイルスによる土壌伝染性ウイルス病は、全国の主産地で経済的被害を発生させている。このウイルス病に有効な植物ワクチン(弱毒ウイルス)を開発。これは、病気を引き起こすウイルスから病原性(毒性)を取り除いた天然のウイルスだ。これをピーマンの苗に接種して栽培すると、毒性の強いウイルスの感染に対して高い予防効果を示した。

 ピーマンは果実100g中に約76mgのビタミンCを含む。これはレモン果汁に含まれる量の1.5倍にもなる。驚いたことに、ワクチンを接種したピーマンではその量が約110mgに増加。レモン果汁の2.2倍にもなることが分かった。ワクチンはモザイク病を防ぐとともに、ピーマンの栄養成分を増強する大きなパワーを持っている。

 モザイクウイルス病の防除には、臭化メチル剤による土壌くん蒸が最も効果的だ。2005年に国際条約の取り決めにより撤廃されたが、ピーマンでは代替防除技術が皆無という理由から不可欠用途用(特例措置)として本剤が継続的に利用されてきた。ところが、近年の環境保全意識の昂揚から世界的に完全撤廃方針が強化され、我が国でも2013年を全廃期限とする国家管理戦略が策定されつつある。本技術の適用により、生産現場の混乱を回避し、農家に安心感を与えることができる。臭化メチル剤全廃後もピーマンの持続的安定生産の確保が望める。

 実用化については、まず、この技術がピーマン農家の方々に信頼される必要がある。収量や果形に影響を与えず、かつしっかりとした防除効果を発揮する資材であることを認めてもらうことが肝心だ。さらに、その「おまけ」として、機能性に関する付加価値も喜んでいただけたらと思っている。次に、この技術を利用した生産システムをいかに産地に導入していくかがポイントだ。ワクチンは予め苗に接種しておくものなので、苗を生産・販売する民間企業の協力も必要になってくる。

 研究センターの所在地、茨城県は、全国的に有名なピーマンの生産地である。今までは、センター内の圃場において防除効果や収量調査などを実施してきたが、今後は、茨城県やJAの協力もいただきながら現地実証試験における有効性、特に経済形質への影響を調査していきたい。ピーマンは、全国に10カ所以上の主産地がある。それら地域や環境、作型が異なる産地での有効性についても調査していきたいと思う。ご協力いただける組織などがあれば、ぜひともお声をかけていただきたい。

関連記事

powered by weblio