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【今年の市場相場を読む】
計画生産のできる施設栽培は適正規模と需要の把握がカギ ピーマン・キュウリ・ナス・トマト
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第18回 1997年04月01日
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ピーマン 減少傾向で昨年夏場に暴騰計画的な生産で需要確定を
【概況】
ピーマンの入荷量は、比較的順調に「入荷増・単価安」の年の翌年は「入荷減・単価高」というパターンを繰り返してきている。非常に需要が安定していることを物語るのは、例えば、平成5年が前年に比べて6%の入荷減だったが、単価は22%も高くなったこと、平成6年が逆に入荷は5%増えて、単価は21%安くなったという“絵に書いたような”推移からもわかる。ただし、昨年、平成8年は前年と数量はほぼ変わらなかったものの、単価だけはキロ385円と前年より二割近く高くなった。これは、昨年の場合、6月以降入荷が減少ぎみで、単価が暴騰基調となったためである。
【背景】
夏以降の単価高は、もうひつとのファクターがありそうだ。昨年のこの時期は、あの「O-157」騒動でサラダ野菜などが逆に暴落していた。炒め物やナベ物用の野菜は堅調だったこの時期、ピーマンも堅調だったのだ。こうした昨年の特別な理由のほかに、夏場を中心とした産地構成の問題もある。東京市場に対する産地構成は、茨城がほぼ周年をカバーするとともに冬場を中心としては高知、宮崎産がメインで、夏場の季節産地として岩手など東北産地の布陣である。昨年の場合、この夏場を中心とした東北などの季節産地が、2年続きの単価安を理由に生産を抑制したことからくる暴騰基調でもあったのだ。
【今年の対応】
日本の野菜生産の特徴のひとつは、市場相場を目安に生産の増減が決められるというところだ。それだけ、市場流通の比重が高く、相場の流れと需要の流れが大方のところ一致していたから、これまではそれほど問題はなかった。市場相場が需給関係を測るモノサシ足りえたからである。ところが、近年、野菜全般に契約栽培や産直流通のウエイトが拡大してくると市場相場が需給関係を正確に反映しなくなった。そこで、このピーマンのようなケースが問題になる。確実な需要があるのだから、生産の調整は市場相場だけを根拠にしてはならないのだ。せっかく生産が安定的で計画的に行える施設野菜なのだから、小手先の調整はしてはならない。単価が高い夏場を中心に、あくまでも計画的生産を維持すること、これに加え、バラ詰め出荷が可能なスーパーなどの量販店需要の開発も必要になる。カラーピーマンも面白い。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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