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今年の市場相場を読む

計画生産のできる施設栽培は適正規模と需要の把握がカギ ピーマン・キュウリ・ナス・トマト

ナス マーケット別に品種選定 注目は地ナスの地場需要


【概況】

 ナスは、東京市場の場合約25%強が長ナスであり、残りはいわゆる「千両系」のナスである。長ナスは、冬から春にかけての季節野菜的な位置づけにあり、夏場に入荷が切れることから、年間需要が定着せず、しかも消費拡大をはばんでいる。東京市場においては、年間5万6000t程度でキロ単価350円というところが適正数量、単価ということになる。ただし、施設栽培の高知は7月から10月までを除き他の月は東京市場を掌握しており単価も高い一方、露地物を含む関東産は夏場を中心に広く出回り単価の安い時期を形成している。出荷形態も、春から増えはじめて夏にピークを迎え、秋は9月まで。真夏には露地物も多く、安くなるとともに一般家庭での消費もピークとなる。


【背景】

 西南暖地の時期のナスは入荷、価格ともに安定している。しかし、シュンである夏場を中心に入荷も価格も不安定となる。これは、施設栽培と露地栽培という区分の問題と、ナスという果菜類の難しさである。温度と日照が影響することは当然だが、他の果菜類に比べてその反応がワンクションあり、調整がしにくい。また、ナスの鮮度はいわば「光沢」が目安ということから、夏場の鮮度維持の難しさもある。また、ナスの特殊事情として、各地にいわゆる「地ナス」が多いということも押さえておく必要がある。地ナスは独自の地場生産~地場流通システムがあり、全国ブランドの「千両」や「筑陽」が代表する長ナスとは一線を画している。


【今年の対応】

 新規導入を考えている場合どこのマーケットに対応した品種を採用するかを、まず決めなくてはならない。ポピュラーな千両系ならどこでも売れるからさしさわりはない。しかし、同じ全国ブランドなら長ナス、とくに夏場を中心とした生産が面白い。九州産の後を引き継ぎ、九州産が出回るまでの時期である。長ナスが周年化することで、需要はまだ拡大する。とくに、漬物などの加工需要で大きなパイがある。もっとも福岡県で開発された筑陽はどちらかといえばハウス用品種で、夏場の露地では難しいといわれる。一方、地場対応なら地タネで作りたい。地方によっては地ナスが衰退ぎみのところもあり、地ナスの再発掘も十分勝機がある。繰り返すが、マーケットに対応した品種選定である。

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