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今年の市場相場を読む

計画生産のできる施設栽培は適正規模と需要の把握がカギ ピーマン・キュウリ・ナス・トマト

トマト 「おいしさ」がコンセプトに 輸入対策踏まえ今年は攻めで


【概況】

 果菜類の中で、とくに勢いのあるのがトマトである。東京市場の入荷をみても、平成4年で9万5000tだったものが平成8年では1万tを超えた。相場の流れからは、平成5年以降、キロ320円前後で推移する好調さが生産意欲を刺激したと見える。8年の入荷増で単価は270円程度まで安くなった。入荷増のパターンはグラフで一目瞭然だが、年間通してほぼ全体的に増えている。トマト事態の需要も底上げになってもいるのだ。産地構成は、千葉と茨城が周年産地で全体の三割程度を占めているが、冬場を中心にした主産地は熊本、これに夏場を中心に東北産地が布陣する。このうちとくに冬場の入荷が増えているのも特徴である。


【背景】

 スーパーなどの量販店での野菜商材差別化は、軟弱野菜などの鮮度訴求ともうひとつは「うまさ訴求」ともいうべきコンセプトに裏付けられている。その意味からすると、食べてその「うまさ」がすぐわかるトマトは、代表的な差別化のターゲットでもあるのだ。この傾向は、年間商品である果菜類で組み立てやすいため、結果的にトマトに対する小売店需要が強くなっているのである。ただし、8年において過去数年来の好調単価が出ていないことから、今年は産地に抑制気運もあることも事実。トマトの解禁が相次いでいるというムードも抑制を後押しするファクターだ。


【今年の対応】

 今年のトマトのポイントは夏場にいかにおいしいトマトを供給できるか、というのが一点。今年のような年回りにはトマト生産は攻めだ、というのが二点目である。夏場のおいしいトマトとは、シュンの強調である。露地でも加工用品種の血の入った体質の強い、糖度が上がる品種が欲しい。このような特質を持ったトマトは、まず地域のスーパーなどがすぐ飛びつくことは請け合える。皮の硬さが問題になることもあるが、それ以上に「おいしいトマト」であることが優先する。これは、東京など中央でも需要があるし、外食などの業務用でも潜在需要が存在する。北米やオセアニアなどの国のトマトが解禁となっているが、彼らは日本のように生で食べることは少なく、調理用が主流のため酸味が強いのが特徴だ。おいしいトマト(日本人にとって)を、今年も強気で生産することが需要拡大と輸入の抑止両方に役立つ。

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