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特集

「顧客に聞く農業マーケティング」
自分はお客様のために何ができるのか?

 適地適作という一つの例を挙げれば、いま長野県の野辺山の海抜1300mぐらいのとこで有機無農薬のナガイモを作っている油井さんという生産者がいます。あの辺りで去年までキャベツやレタスを7町歩か8町歩作っていたんです。あの辺りでは皆競争してやってる。毎日人を使って出荷の競争をしていた。Aさんが800ケース出した、よし、おれは1000ケース出すって具合です。まさに量の農業に走っていたわけです。油井さんは、こんなことしてられない、と有機無農薬でナガイモ作りに切り替えた。

 品質は問題なくいい。多少小さいが、味は文句なく素晴らしい。

 有機無農薬でも値段が手ごろで、品質が良いから消費者は買ってくれるんですよ。問題はそこを生産者が理解することです。売れる理由があるんです。ですから、うちは有機無農薬で手を掛けて作ってるんだから、収量が悪かったんで2割増しで買ってくれというのはだめなんですよ。コストから売値を作るんじゃなくて、消費者が買いたくなる価格で作ることを考えるんですよ。

 油井さんはさらに進めて加工場を作って、そこで真空パックしてそのままスーパーの棚に並べられるような形態で売っています。そうやって付加価値つけてやってる。こういう形になると、一日100個では本当のヒット商品じゃないが1000個以上売れるヒット商品がつくれるようになるんですよ。

 私は100%スーパーに出してますからよく分かります。大体この価格が作れそうだと考えて動きますからね。

 実はスーパーは産直は苦手なんです。産直だと全部受けますからいろんなサイズが入ってくる。ところが売場のスペースは限られているし、サイズを揃えるのがスーパーのマーチャンダイジングだからね。まあ、よくやれて3サイズぐらいまでですね。だからAというスーパーにはLを売りなさい、Bというスーパーには2Lをというようになる。いまスーパーはディスカウントで苦しい時代なんですよ。それは同じものを競って売るからなんだ。こういう時には、逆に価格競争に走らずに、品質にこだわる商品開発が必要なんです。

 私どもはいまフルーツトマトというのを売っています。糖度が9度以上あるんですが、これは栃木県で作ってます。トマトは夏場になると作るところがないですよ。夏は温度が上がってきて表面だけが出来上がってしまうんで中の糖度は落ちて具合が悪い。

 それで、根を土から離してつくる方法で糖度を高めたものをハウスで作っている。これで夏前に切れていたトマトが秋口の9月ごろまで引っ張れるようになったんです。これにはかなり投資が必要でしてね、ハウスにしても約1000坪ありますからお金がかります。

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