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特集

「顧客に聞く農業マーケティング」
自分はお客様のために何ができるのか?

 生産者に一番言いたいことは、正直に自分の作るものに誇りを持てるような農業をやりなさいということです。

 そのためにも、有機でも無農薬でも収量がよくないから、高く売ればいいということではなくて、ちゃんと採算に乗るような作り方を考えて、消費の側が支持してくれるような値ごろ感のある価格で安定して供給できるようにすることが一番大切なんです。特にこれから本気で土作りから有機農業に取り組む人にはこれを言いたいですね。

(株)ジャパンフレッシュセンター 代表取締役
林直司(はやしなおじ)

(株)ジャパンフレッシュセンターは昭和63年に設立された青果の流通会社で、東京江東区の潮見に1000m 2 の流通基地(保冷・冷凍)を持ち、1日平均90tの青果を主としてスーパーに配送している。野菜類は関東以北、果物は全国から集荷し、その比率は半々だ。
住所/東京都江東区潮見2-8-11 農水省野菜供給安定基金京浜貯蔵庫内
TEL/03-3615-2031


安全で健康な土を守り次世代に手渡せる農業を

 もともと私が農業に関心を持ち始めたのは、21世紀の子供達にいい土を残そうということからです。25~26年前ですか、千葉県三芳村の自然農法と都会の消費者を結ぶ会の第一期の会員なんですよ。当時の入会費は1万円でしたから結構高かったんですよ。当時のサラリーマンの給料が4万円ぐらいでしたから。10人揃えないと出来なかったので、うちがホストになって始めたんです。

 最初はコマツナ10箱のみという感じで虫食いだらけの葉物や、スの入った根菜とか、そんなものばかりでしたが、どんどん農業がだめになってくるなかで、母親ができることは健康で安全な食べ物を子供達に与えることですから、確かな食材を使うことを通してその考えを広げていこうと始めたんです。

 それで次第に作物の種類も増えて量もとれるし品質も良くなりましたが、量的には一家族では食べ切れません。それに自分たちだけ食べてもしょうがないですから、もっと広げようとコマツナやホウレンソウなどの野菜を使ったパンを作り、会員を募って予約制で販売したんです。

 抗生物質の入らない豚肉を使った肉まんを作って売ったりしました。すみれの会という名前で3年ぐらいやりましたら子供達も味で覚えていて欲しがります。だんだん会員も増えてきて趣味ではやっていけませんから事業化したんです。

 山から下りてきて果樹園のミカンを食べていた猿が奇形の子を生んだり、鶏が奇形になるということが続いていた時代でした。農業をする人は作物ができる喜びだけで、農薬を使う怖さなんか耳を貸さないで農協の指導どおり使います。むしろ農協の指導以上に使うんです。少なくちゃ役立たないだろうと、善意で多めに使うんです。悪意なんかないんです。でも借金は増えるし、自分達にも農薬が影響してくることにも気づかずに使う。

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