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農業経営者ルポ

後継者は誇りと夢と能力ある者に

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第24回 1997年08月01日

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 林間放牧で、自然の中で牛に子供を生ませる。和牛ではそれに耐えられないが母牛はアンガスで肉質を上げるために4頭の和牛の雄を種に使ったF1だ。F2までは取るがそれ以上だと放牧には耐え切れないという。

 林間放牧の牧場の場所を決めるに当たって、駒谷さんは道内で早くから和人が移り住んだ気象に恵まれた場所を探した。伊達、様似、厚岸の3つの候補地から土地が手に入れられた様似町を選んだ。地価もあるが、放牧だからこそ栄養価の高い牧草が育つ場所が必要だったのだ。農業経営を家の回りだけでやる時代は終わっているのだと考える。

 牧草地と林を含め270haの牧場で牛の数は正確には把握できない。年間150頭を契約した東京のスーパー三徳に出荷する。普通なら8産というのが標準だと思うが、放牧にすると2、3産は余計に産ますことができるという。雪のある1~4月には生まさず、子牛は6~8ヵ月で畜舎に入れる。餌は、夏の間は牧草。柵で牧草地を幾つかの牧区に分け、草をきれいに食べるように仕向け、それを循環させる。冬の間は、乾草とデントコーンのサイレージを給餌する。他にベールにした稲ワラを与える。牛は林の中のササを食べて不足を埋め合わせる。冬の方が手間がかかる。肥育は畜舎内でするが、水田や畑から出る小麦クズ、大豆、小豆カラ、特栽米の糠、稲ワラなどで配合飼料のベースを作る。その配合と給餌は機械化されたコンプリートフィーディングだが、原料はなるべく国産、自家・地域内調達をめざす。

 牛は原野の厳しいけど自然の環境の中で生まれるが、最終段階は快適にしてやる。牛のストレスを最小限にする管理をするのだそうだ。

 こんな人が考えも付かぬような経営のアイデアの例は他にも幾つもある。

 二人の個人農家と共同で作る9棟の育苗ハウスの利用が面白い。

 駒谷さんは、稲の他に牛、20haの畑作などをするが、育苗ハウスを使ってのメロンや花の栽培にも手を付けている。

 メロンの栽培も、自分でやったのでは良いものはできない。試験場を定年退職した専門の先生に実地での栽培を依頼する。能力のある人に場を与えれば、その人は経営者にはできない仕事を可能にする。花もそうだ。農場の人間はその人からノウハウを学ぶのだ。ただし、駒谷さんはどこにでもある園芸での土壌障害の発生を見越して、ハウスの構造を考えた。最初は移動式のものができないかと考えたがコスト的に無理だった。そこで、始めたのは、9棟のハウスの中を順送りに水田にしてしまうことだった。連作障害を起こさない環境を作るのが経営者の仕事なのだ。

 駒谷さんは水田こそが日本の自然や風土にあった技術なのであり、それをいかしてこそ低コストの農業が可能だと考えている。

 メロンや花はまだテスト段階だが、試食させてもらったメロンはなんと糖度19もあった。すでに、肉牛で取引のあるスーパーだけでなく、市場からも本格的作る前から駒谷ブランドで売りたいとの引合いがある。

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