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特集

土壌診断、樹液・土壌溶液分析で何が解り、そして解らないのか?

昆 ものすごく土壌溶液の硝酸濃度が高いのに植物では欠乏になってるケースもあるという。過剰のために吸えない状態になてる時、そういう状態の人に減肥しろというと逆に大変な障害が起きてしまう可能性があると岡本さんがいってたけど、そういうケースはままあるんですか

岡本 施設園芸に関して言えば、そうなる可能性はあります。植物体、土壌溶液の基準値を示せば、肥料を足そうとか減らそうとかして基準値に合わせてしまう人が多いので、僕は数字の話しはしません。知りませんと。むしろ経験の中で判断して貰いながら、数字を取り続けてもらう方が良いとおもう。

昆 読者の関心を呼ぶところだから具体的に条件を説明して。

岡本 土壌溶液の値が高いにも関わらず植物に吸われていないケースというのが非常に多いのです。施設園芸で特に多い。そう言った場合、土壌溶液が高いからといって施肥を減らしたらうまくいくかというとそういう訳ではない。逆に植物体の値が高く、土壌溶液の値が低い人に対して、土壌溶液の値が低いから施肥を増やしてくれと言っても上手くいくはずがない。単体で見ると矛盾があって、そこに僕は恐れを抱くんです。だからそういう話しをするのは危険すぎるのかなと。数字を示すと殆どの人はそれが答えだと思ってしまう。こういうことが考えられるというだけでも、答えととってしてしまう。そもそも基準値とは誰が作るものなのでしょうか?公的機関の試験結果を示せばよいものなのでしょうか?それであれば調べればよいことですが、試験機関の数字もどの程度個々の圃場に当てはまるか解らない。実際に試験機関の数字を当てにしたところがアレンジしなければ、役に立たなかったということもおきています。少なくても、測定した数値の意味が自分でわからなければ、基準値を出すというというのは危険だと思います。現場で測定できる機器ができてきたからこそ、生産者自らが押し付けではない自らの基準値を作り出すことができるのではないでしょうか。


問題は「欠乏」でなく「過剰」そして「健康さ」とは何かだ
昆 これは関さんの受け売りだけど、元々「地力」とは経済学の概念であって、徴税の根拠や手段として土壌の肥沃度を調べることから始まったという。そこから土壌学が出てきったと。始まりはそんなことだという土壌の肥沃土あるいは欠乏度をみる「土壌の科学」というものを、経営者が生産向上や適切な土壌(自然)の管理の手段や知識として活かしていこうとするとき大事なことは。

関 一般に肥えてる土、痩せてる土というものがあって、ちょっと考えれば肥えてる土の方がものをたくさん作れて、グラフは正比例になるというのが普通のように思える。ところが、砂という、肥沃度の一番低い、土としてのランクが一番低いものが実は生産力がものすごく高くて、連作もできている。日本の立派な野菜の産地はみんな砂の所にあると、この現実をどう考えるんですかということが、土を考える上で一番勉強になると思う。化学性が一番劣悪なところが高い生産性を持つということは、物理性や生物性や酸素の供給の量だとか、いろんな事がある。実際には、同じ分析値の所で同じ作物を作って同じようにできるかといえばできない。あくまでも、ひとつの条件の中でしか評価されないということはしつこくいっていいと思う。

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