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特集

土壌診断、樹液・土壌溶液分析で何が解り、そして解らないのか?

 「土壌溶液分析」のポイントは、

1)作物が利用している状態の土壌養分を把握する事が出来る
2)土壌水分の変化に伴う養分濃度を把握する事が出来る
3)各元素のバランスを把握し易い
4)リアルタイム分析に適している(本誌9~10号の関氏「土壌溶液分析」のページを参照下さい)

 一般的な土壌分析との大きな違いは、養分の浸出方法の違いです。(図2参照)土壌溶液分析の場合は専用の採取器(図③参照)ミズトール(資料請求番号70)などで、土壌の液相部分を採取するだけですが、一般的な土壌分析の場合は、酢酸ナトリウムなどの抽出液を加え、振とうや加熱を行い抽出します。

*各分析法による置換性カルシウムの抽出方法例
〈全農型土壌分析法〉 pH4・8の10&酢酸ナトリウム緩衝液を加え30分間振とう
〈精密分析法〉(農水省式に準ずる) pH7の1N酢酸アンモニウムを加え1時間振とう
〈EDTA滴定法〉 pH10・5の緩衝液を加えバーナーで35~40℃加温。

 これらの抽出法では、土壌中の「リン酸カルシウム」や「硫酸カルシウム」などの難溶性成分も抽出しますので、「カルシウム過剰」という診断になる場合があります。

 そして、処方に従い施肥を控えるために、作物が「カルシウム欠乏」になってしまう場合があります。

このようなミスをしないためにも、実際に作物が利用可能な養分により近い、土壌溶液分析をする事をお勧め致します。 また、カルシウムの吸収はアンモニア態窒素やカリウムの濃度に影響されますので、各元素のバランスを把握するためにも土壌溶液分析はたいへん有効です。

 しかし、これだけでも、要因を解明出来ない事があります。

 前述した「カルシウム欠乏」のように、障害の要因が土壌肥料的要因ではない場合などです。作物体内の過剰なリン酸・窒素・マグネシウムが、カルシウム欠乏を誘発したり、葉の出来すぎや高温によって蒸散量が多くなり、溢液流による養分分配が出来ずカルシウム欠乏になる場合があります。

 そんな作物の状態を知る場合には「作物体分析」を行う必要があります。(本誌22号の特集ページを参照下さい)

 そして、この「作物体分析」と「土壌溶液分析」とpF計(資料請求番号71)による「土壌水分」の把握を併用する事によって、より多くの要因をリアルタイムで分析することが可能になります。

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