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特集

土壌診断、樹液・土壌溶液分析で何が解り、そして解らないのか?

土壌診断で解ることと解らないこと!!
まず「土壌断面調査」から始めよう

(関 裕二)

 作物の栽培では様々の因子がその結果に関与している。光、水、空気、温度、養分、このようなものが作物の生育や収量を左右している。これらが好適条件にあるとき、作物は正常に育つ。そして、光因子以外は土壌が、その環境として大きく関与しており、また土壌を通して作物に影響する。

 土に関する様々の現象があって、科学的裏付けのあるもの、そして全く不明なもの、それぞれについてどの範囲まで人が知識や手法を使って把握できるか知っておく必要はある。「土づくり」という便利な言葉はあっても、何をどうすることが土づくりなのかよく理解できない。そこで土壌診断という決まり文句が登場するのですが、これまた理解できない。

 この一連の流れは、適当な間隔をあけて、生産者の一生の間に何回か訪れるのではないでしょうか。

 まず、現場で手始めにやってみること、それは難しい分析でもなければなんでもない簡単な作業である、土壌断面調査なのです。土壌の基本的性質である、化学的性質と物理的性質、それに生物学的性質、この三つの性質がそれぞれ満足に働いて、作物にとっての良い土壌環境ができるのです、と教科書には書いてありますが、現実にはこんなにうまく出来上がっている圃場はあまりありません。

 ここが、土を調べるという行為をする人の大切な心構えではないでしょうか?つまり、圃場のどの部分に欠点があり、これを改良してしまうのか、それとも改良しないで、欠点をそのままにして他方を改良・改善することで補うことができないかという発想です。

 いくつかの問題点が浮かんできたら、それを解決の難易度に合わせて並べてみて、どれから手を付けていくか、どれはコスト、手間的に不可能かを見極めることです。

 そして、土壌の三つの性質の中で、最も明確に、その内容が表現されてくるのが化学的性質であります。この化学性を調べるのが土壌化学分析ですが、これについては後で述べることにします。

 この化学性の欠点と、調べてもなかなか現場の状態を把握できない生物性の欠点、これらを補ってくれるのが土壌物理性であります。この土壌物理性を現場で、簡単に、しかも明確に調べる方法が土壌断面調査です。

 この調査で明らかになることは、作土層の厚さ、作土層の硬さと柔らかさ、耕起にともなう耕盤の状態、排水の良否、水が湧き出ていればその様子や深さ、また土壌そのものの粒径や粘性、土の色、礫の有無、根の張り方などがその場で記録されます。だいたい一ヶ所調べるのに30分あればできる作業です。

 これにより土壌物理性の基本、膨軟性と排水性がわかります。そして何より、圃場の断面からは、それまでの畑や水田の来歴を知ることができます。圃場に顔があるのなら、まさにその顔がこの断面です。

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