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読み切り

東和町町長インタビュー
「それでも地球は回る!」

米の生産調整(減反)を農家の自主判断に任せる方針を打ち出した東和町の小原秀夫町長は、8月1日、自主転作の実施を断念する旨の記者発表を行った。これでこの冬から農政を揺るがしてきた東和町の自主減反問題は一応の決着をみることになった。
 米の生産調整(減反)を農家の自主判断に任せる方針を打ち出した東和町の小原秀夫町長は、8月1日、自主転作の実施を断念する旨の記者発表を行った。これでこの冬から農政を揺るがしてきた東和町の自主減反問題は一応の決着をみることになった。

 筆者は、その発表の6日前、小原町長にインタビューすべく東和町に飛んでいた。いずれ小原町長は自主転作の方針を撤回する。筆者は、この問題が起きた時からそう予測していた。その予想通りに事態は進展した。インタビューの冒頭、筆者は小原町長に方針撤回は何も敗北ではない。これは一歩後退二歩前進になる。こう説明しておいた。その時、こんなエピソードも紹介した。 

 「実は東和町内の農家の方から、この件で小生にも相談がありましてね。確か3月ぐらいのことだと思います。農家の方には、ことしは政府の方針通りに従った方がよいと伝えておきました。理由はですね、どうせ秋には大豊作になる、そして米は余る、もし政府に逆らって自主転作した場合、農水省の役人にも面子がありますから、米過剰の責任を誰かに転嫁してくるからですよ。東和町が自主転作を決めたから米が余ったんだということになりかねない。だからここは一歩下がった方が得策だと思う。逆に政府の方針に従っても米は余った。減反そのものを見直さねばならぬのではないか。秋にはこう主張もできますよ。農家の方は納得してくれたようです。でもこんなに早く予想が当たるとは思いもよりませんでした」

 こんな前置きがあって小原町長との「撤回」を前提にしたインタビューは3時間にも及んだ。減反問題から日本の農政の問題まで話題も多岐にわたった。小原町長のポイントとなる部分を詳述することにした。この秋、確実に起きる米パニックを考える際の参考にして頂きたい。


土門 減反問題で一石を投じられて最後はこういう形で決着することになった。何か孤立無援の闘いのような気がしました。

小原 最初、高知県の橋本大二郎知事が先鞭をつけて、その後、バトンタッチを受けたわけではないが。減反政策の批判では二番手となりました。東和町に続く自治体があると期待していましたが、うーん、やはり補助金行政はすごいですよ。いくら正論を吐いても国に反発しきれんのです。自主転作は時代の流れだと確信しています。

土門 国との論争はどうでしたか。

小原 最初、国は法律論争を仕掛けてきました。農水省も県も、私に対して「あなたのやっているのは法令違反になる」と言ってきた。私は、「法令違反なんか何もやってませんよ」と突っぱねた。それで「どの法令に違反するのか。そんなことどこにも書いてない」と主張すると、「要綱や通達の中にありますよ」と答えてくる。その要綱や通達も拡大解釈あり曲解ありでしたね。こちらも困って、それじゃ、「その要綱や通達はどの法律の委任を受けているのか」と突っ込むと、国からは明確な答えが何も戻ってこないんんだ。これには驚きましたね。役人が作る一片の要綱や通達が、法令より上位に扱われているんです。憲法にはそんなことは書いていないでしょう。

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