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渡航費は自己負担で!
今川さんを始めメンバーは各種の海外視察を経験している。渡航費はあえて補助金を頼らず全額自己負担とした。又、アカ族の村に入るに当たり一人一人テーマをもつことにした。「ソバ打ち」「かまど作り」「倉石の生活(小学生の書いた絵)」でアカの人と交流する。
スライドキャラバンでアカ族の生活を多少なりとも知っているので、「農業指導をしてくる」「効率のいいかまど作りを教える」と意気軒昂だ。単なるアメションの視察とは気合いの入れ方が違う。
少々うがった見方をすれば、白人の先進国視察では味わえない優越感を抱きながら旅が始まるのであった。
ルールのわからない旅
倉石のメンバーにとって今回の旅は視察とは違っていた。世話をやいてくれる添乗員もガイドもいないのだ。出国手続きからすべて自分でやらなければならない。上膳据え膳の旅になれているとどれひとつとっても苦痛だ。入国審査の時には出発の意気ごみはなえきってしまっていた。それどころか、快適な宿などない。皆んなでコンクリートの床にザコ寝。食事は口に合わないし便所は水瓶で自力排水。
大都会のバンコックから北部チェンライの町へ移動。ここは、黄金の三角地帯と呼ばれ麻薬の大産地。ビルマの反政府勢力や山岳少数民族が複雑に入り交じる人種の坩堝だ。
いよいよ、アカ族の村に向かうが乗り物はピックアップトラックの荷台。しかも、乾季で土埃がひどく息もままならない。目指すセンチャルーン村の中へは車が行けず途中から歩く羽目に。
村に到着した時にはだれ一人として口を開こうとしない。
「とんでもないところに来てしまった」と後悔してももう遅い。
最も彼らを悩ましたのは言葉の問題だった。若いメンバーは簡単な日常会話ぐらいは英語でできるとタカを括っていた。しかし、とても甘かった。ここはタイ語の国。しかも、アカ族の村では残念ながらアカ語しか通じない。
倉石村での陽気な彼らはどこか彼方にふっとんでしまった。
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豊永有
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