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【エクセレント農協探訪記】
青森県・木造町農協
米流通や物流コスト削減で農家との共存に積極的対応
- 土門剛
- 第16回 1997年08月01日
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農産物の販売で商人系業者におされ放しの青森県の農協界にあって一人気を吐いているのは木造町農協である。県稲作経営者会議の豊川民男会長からも、青森に「元気印」の農協があることは聞いていた。いまや県庁からも「農協は木造町農協に学べ」と県農業活性化の起爆剤役を仰せつかっているらしい。
青森市から東へ20kmほど、弘前市からも北北東に20kmほどのところに木造町がある。西へ15分もいけば日本海だ。主産品は米にメロンなど園芸産品である。農協独自の販売路線が各方面から注目を集めている。
「独自路線であまり経済連に出荷されていないということですが…」
いきなり菊地昭三組合長に核心の質問をぶつけてみた。
「ちょっとオーバーに伝わってますね。米でも40億円のうち10億円ですよ。独自販売は。それも七年産からですよ。本格的に始めたのは」 新食糧法になって「作る自由」と「売る自由」に道が開かれた。農協も、食管法下の特栽米のような窮屈なルートでなくても、経済連を通さなくても、あるいはややこしい手続きがなくても、大手をふって自由に売れるようになった。一般の消費者にも、米卸や小売りにもダイレクトな販売ルートが開かれたのだ。
ただ、この「権利」を行使する農協はまだまだ少ない。売る力のある農協が少ないからだ。せっかくの「権利」もどちらかといえば宝の持ち腐れ。県内でも木造町農協に続く農協はゼロだ。
木造町農協が独自路線にギヤ・チェンジしたのは、米の売り方で経済連と方針が決定的に違っていた。理由はこれに尽きた。
青森市から東へ20kmほど、弘前市からも北北東に20kmほどのところに木造町がある。西へ15分もいけば日本海だ。主産品は米にメロンなど園芸産品である。農協独自の販売路線が各方面から注目を集めている。
独自の販売ルート確立
「独自路線であまり経済連に出荷されていないということですが…」
いきなり菊地昭三組合長に核心の質問をぶつけてみた。
「ちょっとオーバーに伝わってますね。米でも40億円のうち10億円ですよ。独自販売は。それも七年産からですよ。本格的に始めたのは」 新食糧法になって「作る自由」と「売る自由」に道が開かれた。農協も、食管法下の特栽米のような窮屈なルートでなくても、経済連を通さなくても、あるいはややこしい手続きがなくても、大手をふって自由に売れるようになった。一般の消費者にも、米卸や小売りにもダイレクトな販売ルートが開かれたのだ。
ただ、この「権利」を行使する農協はまだまだ少ない。売る力のある農協が少ないからだ。せっかくの「権利」もどちらかといえば宝の持ち腐れ。県内でも木造町農協に続く農協はゼロだ。
木造町農協が独自路線にギヤ・チェンジしたのは、米の売り方で経済連と方針が決定的に違っていた。理由はこれに尽きた。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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