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【今年の市場相場を読む】
業務用の需要と違う一般家庭需要にも目を配る必要が オオバ・葉ショウガ・食用菊・マッシュルーム
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第20回 1997年08月01日
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オオバ 地場消費を対象に「食べられる」「おいしい」がコンセプト
【概況】
オオバの需要は周年あるが、それでも需要期、不需要期が存在する。需要期の代表的な時期はいわゆる薬味として利用される夏場と、ツマ需要が集中する年末需要。入荷と相場の関係は、需要期ほど入荷が多いことはもちろん価格も高い。
また、過去数年来の傾向としては、年間の入荷量は東京市場で1400t台をキープし単価はおよそキロ3000~3100円を維持している。非常に安定した動きは確実な需要の定着が背景にある。
東京市場における産地構成は、愛知県がダントツで65%を占め、次いで茨城の23%と二産地で八割近くを占める。その他はいずれも西の遠隔産地の高知、愛媛、大分、佐賀、宮崎などである。
【背景】
オオバの中心需要は業務用。その八割までを占めるといわれる。年間レベルの安定した入荷と単価はそれを証明している。また、需要期に入荷が多く単価も高いが不需要期には入荷は少ない割りには単価は安い。これは、オオバの価格形成がセリというよりは相対売りであることを意味している。需要と供給とのバランスで取引されるというよりは、まず「数量確保」が前提の取引だということ。
産地としては、時期によって適正需要が掌握できるために、計画的な生産と出荷が可能になる。しかも周年需要が存在する、ということから、遠隔地の園芸産地が産地化しやすいのである。
【今年の対応】
オオバは過去15年で急速に消費が伸びた。一般家庭用の需要が喚起された結果だ。香辛野菜類の伸びが全般的にいいのは、クセの強い野菜の栄養価や機能性に期待されているからだ。全体的に個性を失いつつある野菜類の中で食味に特徴のある野菜に人気が集まりつつあるのは、消費者の食の成熟化でもある。
消費者が伸びれば産地も増える。東京市場では愛知県の独壇場であるが、地域には独自の主産地が存在するようになった。大阪では高知や愛媛が、九州地区にあっては大分、宮崎が主産地である。それだけ、全国レベルでオオバは大衆化したということである。いまオオバの差別化商品は「食べられるオオバ」だ。無農薬栽培と有機農業との組み合わせで、安心できて香りもいいおいしいオオバ。これなら地場を意識した産地化で十分経営できる。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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