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どうなる!どうする?こんなとき

〈拡大版〉早期是正措置

最近、農協から増資を求められています。何のため増資するのか、職員に説明を求めてもとんと要領を得ません。何回か問いただすと、職員は、早期是正措置のため、増資が必要となったと説明するだけでした。早期是正措置とは初めて聞く言葉です。この意味は何ですか。なぜそのために増資が必要なのですか。分かりやすく説明して下さい。
Q:早期是正措置の意味は何ですか。

A:行政が透明なルールに基づいて、経営の悪化した金融機関の業務改善や業務停止を発動する仕組みです。昨年6月に成立した金融関連法で決まったものです。

Q:もう少し分かりやすく説明して下さい。

A:こういう例えで説明しましょう。銀行や農協など金融機関が、万一、信用事故を起こして大損を出しても、預貯金者に迷惑がかからないように、金庫の中に札束をドカーンと積んでおこうというものです。日頃から自分たちの経営をチェックしておいて、金庫に積んでおく札束の量は法律が決める。それが早期是正措置の基準といわれるものです。(表参照)

Q:本当に札束を金庫に積んでおくのですか。

A:札束とはちょっとオーバーな表現ですが、いつでも預貯金者へ払い出すための資金を自己資本という形で一定比率を持たせようということなんです。来年4月から導入され、すべての金融機関は、自己資本を4%以上持つことが法律で義務づけられます。

Q:なぜこの制度が導入されましたか。

A:米国で始まった制度です。その米国では80年代に貯蓄貸付組合(S&L)の倒産ラッシュがあったのを覚えておられるでしょう。S&Lというのは、ちょうど日本では農協や信用組合のような地域の金融機関のことですが、S&Lは、80年代に入ってからの不動産融資の失敗などから、その多くが倒産の憂き目にあいました。米国政府の統計では、89年から95年までに解散処理に追い込まれたS&Lは747社にも及んだといいます。そして、その損失総額だけでも約一千億ドル、円に換算して約11兆5000億円になりました。問題は、その損失額を誰がカバーしたかです。破産したS&Lの預金者の払戻金の補償は、出資金を充てましたが、それでも不足したため、その分は税金で処理することになりました。米国政府は、そのため莫大な公的資金を投入せざるをえなくなりました。

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