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山田家の人々
山田さんの経営するやまだズは資本金900万円の家族法人である。代表取締役の山田さんと奥様の洋子さん(46歳)、後継者貴司君(24歳)の3人の取締役、それに法人に社員として入っている母上の登志美さん(70歳)を加えて4人で構成される。21ha(内自作地5・6ha)の稲作が経営の中心である。米は卸、小売店への出荷や企業との契約栽培の他、一部は消費者への直売もしている。高校卒業後、1年間のアメリカ留学も経験した貴司君は、経理・事務担当の洋子さんとともに山田さんの片腕となりつつある。
やまだズでは、応接コーナーと見学者などのための談話室までを持つ事務所を構えている反面で、乾燥調製施設は引退する農家から中古の乾燥機を譲り受け、それに各種の籾ハンドリング用機材を組み合わせることでライスセンターを組んでいくなど設備コストを下げる工夫もしており、戦略的な投資を行なっているようだ。
お邪魔したのは9月26日。第2回目の大阪取引市場入札結果の情報が入る時間だった。前週の東京入札同様、福島会津のコシヒカリの入札価格は他産地が軒並10%前後の値崩れをしているのに比べれば、2万431円、基準価格比でマイナス6%と比較的高い水準を維持したものの、やはり山田さんも顔は渋い。
山田さんは、少なく見積っても現在の15~25%位は収入が落ちていくと予測している。自分なりの経営戦略、販売戦略をどのように作れるかが経営存続の鍵だと考えている。そのポイントは販売の多元化である。また、直売については無原則な拡大は考えていない。単に米を売るのではなく、むしろ農業人・山田義人というタレント、農場を囲む景色や風土あるいはやまだズ(「山田一家」の意)という存在を含めて、自分にしかないオリジナルな農業ビジネスを展開すべきだと考えている。
山田さんはインターネット上に自らのホームページ「私は、會津育ちのお米」(http://www.akina.ne.jp/~yamadazu/)も開いている。インターネットで米を売ろうとしているのではない。農業経営者としての非農業者への情報発信であり、むしろその答えとして得られる異業種の人々の感性を受信することに価値を求めてのことだ。
我れ、いまだ木鶏ならず
以前に会った時、農業経営者が生き残っていく時に地域の小規模農家に対してどのような「説得」をするかというような話題になったことがあった。その時、山田さんは言下にこう答えた。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
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