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ライスボードのポジティブ米ニケーション

米余りの時代に考えること

「長崎の山に行っても酸性植物しか見られなくなった」とハウステンボスの元役員の方から聞いた。東京から長崎に転勤した頃は「アルカリ性植物と酸性植物のバランスがまだ保たれていた」というのだ。その後の中国の経済解放による上海を中心とする工業開発のつけが海を越えている。昔は「黄砂」、今では排煙まみれの「黒砂」が長崎に到達しているのだ。
今回は目を海外に向け、新しい形の“米ニケーション”の可能性について

 「長崎の山に行っても酸性植物しか見られなくなった」

とハウステンボスの元役員の方から聞いた。東京から長崎に転勤した頃は「アルカリ性植物と酸性植物のバランスがまだ保たれていた」というのだ。その後の中国の経済解放による上海を中心とする工業開発のつけが海を越えている。昔は「黄砂」、今では排煙まみれの「黒砂」が長崎に到達しているのだ。

 農業博士で国際協力事業団の専門家として豊富な経験を有し、今年も中国に調査で3ケ月間活動した後の話だから迫力が違う。残念ながら環境問題は国境を越えてしまうのだ。


米は国内的問題ではない!


 食糧問題も環境と同じく国境を簡単に越えてしまう。食糧を「米」に置き換えてみればわかりやすい。3年前の米不足で「まずい外米」と嫌われた緊急輸入で近隣諸国の、とりわけアジアの人々やタイ米の輸入国にどれ程迷惑を被らせたか。

 一例をあげれば、一年間に全世界で流通するモチ米の数量は約15万t。パニックの時に日本は実に約9万tのモチ米を札ビラをはたいて買い占めた。ある日突如として世界流通の60%に相当する量の確保に走ったのだから集荷現場の状況は想像がつく。

 一般的にモチ米を主食とする民族は貨幣経済の中では弱者のグルーブの人々だ。前号で紹介した山岳民族「アカ族」もモチ米を主食としている。彼らからモチ米を買い占めたのだ。

 タイ国で民間ボランティアとして活動する友人達の話では、種もみまで売り払ってしまった山岳民族は生活のために子供を売った。娘は売春宿に、息子は過酷な肉体労働者としてバンコックに連れて行かれた。日本の緊急輸入のお陰で、結果として少女売春婦と少年労働者が巷に溢れてしまったのだ。

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