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『農業経営者』定例セミナー

業界の常識を変える〜野菜苗トップシェア企業の技術と経営〜

  • ベルグアース(株) 代表取締役社長 山口一彦
  • 第39回 2009年11月02日

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野菜苗は農家が自家育苗してきたが、「接ぎ木」という付加価値と日本全国翌日着という仕組により、ベルグアース(株)は野菜苗の常識を変えた。さらにアースストレート苗やヌードメイク苗のように輸送コストを大幅に抑えた苗を、全国に供給することで更なる躍進を目指している。同社代表の山口一彦氏が、業界の常識を変える技術と経営を語る。
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【『農業経営者』編集部からのセミナー解説】

 「今のままで良いのか日本の農業、というのが私の大きなテーマです。ちゃんと経営が成り立つ農業のスタイルを確立しないといけない。そのために私が苗業者として取り組んでいることを話します」 9月18日の第39回定例セミナーは「業界の常識を変える〜野菜苗トップシェア企業の技術と経営〜」と題してベルグアース㈱代表取締役社長の山口一彦氏にお話いただいた。 

 同社はキュウリやトマトなど果菜類の接ぎ木苗を生産している。本社は愛媛県宇和島にあり、直営農場を長野県と岩手県の2ヵ所、委託農場は全国で約10ヵ所、さらに21基の日本最大級の閉鎖型苗生産施設を所有する。

 接ぎ木苗市場 

 野菜苗市場における接ぎ木苗のシェアは26%だが、その品質の高さが評価されて年々シェアは増加している。そして接ぎ木苗を供給しているのは育苗業者(55%)、JA(30%)、種苗会社(15%)となっている。育苗業者がシェアを拡大している背景には、より高品質な苗がユーザーから求められていることが挙げられる。JAはエリアが狭く、さらに繁忙期と閑散期の差が大きいので技術の蓄積が厳しい。また種苗会社は他社の品種が使えないなどの制限がある。同社は全国エリアで展開し、安定的な人材確保もできている。また、使用する品種に関しても自由に選べるという強みがある。

 運賃コストを押さえる事業モデル 

 同社は生産工程の1次育苗、接ぎ木のところまで愛媛で行う。2次育苗は同社の親会社である山口園芸、長野県と岩手県の直営農場や全国の委託農場で行っている。愛媛の本社では接ぎ木ステージまで育苗した断根接木苗の状態で全国各農場へ送る。その後、各農場で苗を完成させ農家に届ける。宇和島から各農場に輸送するとき苗には根が付いていない状態なので輸送コストを最大限まで削減できる。

  通常、北海道まで輸送する場合愛媛から直接送ると、1本60〜70円かかってしまう。しかし、この方法をとれば輸送コストは各農場まで1本1円以下、道内で20円ほどで完成品を農家に届けることができる。

 工業的なものづくりの徹底

  山口氏は当初、すべての工程の段取りと指示を行っていた。経営規模が大きくなるにつれ、限界がきた。そこで、分業化を行い、社員にそれぞれに役割と責任を与えた。さらに各工程間での情報共有をスムーズに行うために生産管理システムを導入し、さらに企業的な農業を目指している。専門性を持った社員が育った現在では全体が見渡せる社員教育を行う体制作りをしている。

  同社の閉鎖型苗生産施設は日本最大級で、年間最大1.5千万本生産する能力がある。だが、実際はそこまで生産できていない。年間を通して閑散期と繁忙期の差がまだあるからだ。この稼働率を上げていくのも今後の課題である。

  さらに農家からの苗に対する要望が細かく、計画的な栽培ができていない。本来ならもっと効率的に、品質を上げることができているはずだという。

「工業の世界ではコストを下げながら、品質を上げるというのは当たり前の世界。工業的なモノつくりを徹底していかなければならないと考えています。育苗工程を共通化することでコストを下げることは当然可能なはずです」


▼セミナー参加者の声がこちらからお聞きになれます。

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