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【耕すということ】
排水施行に幾つかの提案
- 農学博士 村井信仁
- 第25回 1997年10月01日
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プラソイラ
スガノ農機(株)がプラソイラなるものを発売している。サブソイラに改良を加え、スタンダードの刃縁部に平板のプラスチック撥土板を取付けて、下層から土壌を平板の幅分掻き上げてしまう機械である。サブソイルディガプラウ、あるいはサブソイルディガと呼ぶのが正しいと思われる。
ともあれ、これ迄のサブソイラは下層土にチゼル、あるいは両翼状の刃板を入れて下層土を破砕するものであった。これに対し、ある幅で下層を掻き上げてしまい、破砕より大きな切れ目を作って排水性を改善しようとするものである。
チゼルや刃板での下層土の破砕は、土壌を持ち上げて剪断することであり、大きなけん引動力を必要としたものである。これに対し、平板の撥土板で土壌を掻き上げてしまうのは、土壌の切断であり、滑動である。あまり大きなけん引動力は必要としない。
これ迄のサブソイラは比較的乾燥している畑の土壌向けに開発されたものであり、効果的であったと思われる。水田土壌のように湿っている場合は、抵抗の持続性にも欠けていたと言ってよい。
破砕ではなく、ある幅の切れ目を入れることが排水性の改善に効果的かどうかについては、実際に検証してみる必要はあるが、これ迄のサブソイラに劣るものではなく、むしろ優ると想定できる。
何故なら現在、両翼25cm以上の固定式刃板で心土から大きく破砕しているのは開発会社の心土破砕耕位のもので、一般的には、心土破砕はけん引抵抗が大きいことから追随式の小型刃板を引っ張っているに過ぎない。
この場合は、下層土に僅かの切れ目を入れる程度のことであり、下層から上層に60度の角度で全層を破砕しているようなものではない。水田の場合、これでもほぼ満足できたことから、これに比較するならば、仮に幅6cmとは言え、土壌を下層から掻き上げて縦に大きな切れ目を作る方が効果的であると考えられる。
未だ改良の余地があるとは言え、大きな切れ目を作ることに関心を強めるのは、時間の経過で作土が溝に沿って下層に流れ込む可能性があるからである。下層土は単粒構造で排水性が不良であるのに対し、作土は有機物も多く団粒構造である。下層に流れ込めば、縦の断層を作ることにもなり、排水の持続性を高めることにつながろう。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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