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ところが新潟日報は知事発言を歪曲した記事を掲載する。翌日付紙面には「『情報隠し』BL米販売批判」の見出しで「泉田知事、県会決算委で異例の答弁」のサブ見出しをつけてきた。笑ってしまうのは「批判だけでなく実行重要」と知事批判を展開した、報道部記者のお粗末なコラム。この記者に言っておきたいのは、知事を批判する前に、大事な情報をきちんと伝えない自社の報道姿勢を真っ先に自己批判することである。
それはさておいて、この日の知事発言が契機となりコシBLの表示方法を改めることになった。従来コシもコシBLも「新潟コシヒカリ」の表示で販売してきた。知事は、コシBLは「BL」と表記するよう提案したのである。これを受けて県内の有識者と称する者を集めた検討会が開かれ3月26日の第3回会合で「BL表記は必要」と結論付けた。
詳しい表記方法はいずれ紹介するとして、これが「吉」と出るか「凶」と出るか。筆者の見解は「凶」と見た。対応が中途半端だ。問題は、表示ではなく、大事な食味なのだ。
たまたま3月初め、講演先で20年産コシBLを試食する機会があった。炊飯直後と1時間経過後を試食したが、後者の食味については思わずのけぞってしまった。
「へぇ、これがコシヒカリかい。冷めてパサパサならお握りや弁当には向かないだろうな」
会場にいた生産者も同じように頷いていた。もしコシBLと表記が義務付けられ、あのような食味ならば、新潟コシヒカリのマーケットでの評価は相当厳しくなるに違いない。
最近、新潟の生産者が筆者にこんなことを言ってきた。
「あなたはコシBLを批判するけど、すべてのことを知っての上か」
何のことかと聞くと、「コシBLはいもち病に強いので、その分、農薬を減らすことができます」と説明してきた。農林水産部がコシBL批判封じで農家に言わせている言い訳めいた説明を信じているのだろう。
「マーケットは、いもち病の農薬使用量が減っただけでは評価しませんよ。評価するのは食味だけです。コメの王者、新潟コシヒカリが食味を落とせば、それはただのコメ以下の扱いです。なぜ減反枠が拡大されたか、考えたことがありますか」と言うと、その生産者はポカンとしていた。県農林水産部、農協組織、新潟日報によるマインドコントロールから覚める気配はどうやらなかった。
「大凶」というシナリオも紹介しよう。今まで通りに表示せずの方針を貫く場合だ。いよいよ新潟コシヒカリのマーケットでの評価は総崩れになる。知事発言はそれを防ぐための警告であったと思えてならない。
それはさておいて、この日の知事発言が契機となりコシBLの表示方法を改めることになった。従来コシもコシBLも「新潟コシヒカリ」の表示で販売してきた。知事は、コシBLは「BL」と表記するよう提案したのである。これを受けて県内の有識者と称する者を集めた検討会が開かれ3月26日の第3回会合で「BL表記は必要」と結論付けた。
詳しい表記方法はいずれ紹介するとして、これが「吉」と出るか「凶」と出るか。筆者の見解は「凶」と見た。対応が中途半端だ。問題は、表示ではなく、大事な食味なのだ。
たまたま3月初め、講演先で20年産コシBLを試食する機会があった。炊飯直後と1時間経過後を試食したが、後者の食味については思わずのけぞってしまった。
「へぇ、これがコシヒカリかい。冷めてパサパサならお握りや弁当には向かないだろうな」
会場にいた生産者も同じように頷いていた。もしコシBLと表記が義務付けられ、あのような食味ならば、新潟コシヒカリのマーケットでの評価は相当厳しくなるに違いない。
最近、新潟の生産者が筆者にこんなことを言ってきた。
「あなたはコシBLを批判するけど、すべてのことを知っての上か」
何のことかと聞くと、「コシBLはいもち病に強いので、その分、農薬を減らすことができます」と説明してきた。農林水産部がコシBL批判封じで農家に言わせている言い訳めいた説明を信じているのだろう。
「マーケットは、いもち病の農薬使用量が減っただけでは評価しませんよ。評価するのは食味だけです。コメの王者、新潟コシヒカリが食味を落とせば、それはただのコメ以下の扱いです。なぜ減反枠が拡大されたか、考えたことがありますか」と言うと、その生産者はポカンとしていた。県農林水産部、農協組織、新潟日報によるマインドコントロールから覚める気配はどうやらなかった。
「大凶」というシナリオも紹介しよう。今まで通りに表示せずの方針を貫く場合だ。いよいよ新潟コシヒカリのマーケットでの評価は総崩れになる。知事発言はそれを防ぐための警告であったと思えてならない。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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