ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

農業経営者ルポ

経営に体裁の良い玄関は必要ない

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第26回 1997年12月01日

  • この記事をPDFで読む
    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ
瀧島さん方には、緑肥の鋤込みや播種作業時などに何度もお邪魔してきたが、出来上がった畑を見るのは今回が初めてだった。瀧島さんのニンジン作りや畑の技術については度々お話を聞いていた。しかし、あらためて畑を見て、まさにプロの仕事を見た思いがした。
秀品だけで8tのニンジン栽培


 瀧島さん方には、緑肥の鋤込みや播種作業時などに何度もお邪魔してきたが、出来上がった畑を見るのは今回が初めてだった。瀧島さんのニンジン作りや畑の技術については度々お話を聞いていた。しかし、あらためて畑を見て、まさにプロの仕事を見た思いがした。

 瀧島さんの今年の冬ニンジンの収量は、L、Mクラスだけでも10a当たり8tもあるのだ。出荷箱数だから正確な数字だ。

 畑でニンジンを畦の端から順次に抜いても、出てくるのはL、Mサイズばかり。LLやSのサイズのニンジンはないのだ。1枚約1haの畑の所々に、そこだけ飛び出たように背の高い株がある。それを抜くとLLサイズ。原因は先祖返りした種子に由来するそうだ。また、播種時に2粒播きとなって株が密接した場所が形状の悪いニンジンになっているが、その数は極めて少ない。畑の段階でも、いわゆる下物がほとんど見当たらないのだ。

 ニンジンを作る人なら、これがどれだけ素晴らしい成果であるかはお解りだろう。単に収量だけなら、冬ニンジンで6、7tという人もいるかもしれない。しかし、品物はLLサイズばかりという例が多い。いくら収量が多くてもそれでは収益性は向上しない。瀧島さんの場合は、味も色も形も文字通り一級品のL、Mだけでの8tなのだ。

 「いかに規格外れの下物を作らないか、やむを得ぬ下物をどう売るかが経営の勧所だよ」と常々話していた瀧島さんなのだが、これでは下物の販売も気にする必要はないではないか!

 今年のニンジンの仕上りを見て、瀧島さん自身も、これまでの試行錯誤の成果にとりあえずの満足を感じているようだ。

関連記事

powered by weblio