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農業経営者ルポ

経営に体裁の良い玄関は必要ない

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第26回 1997年12月01日

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 プラウで緑肥を鋤込んだ後は、螺旋状の鎮圧ローラを持つ縦軸ハロー「パワーハロー」(写真4)で砕土・鎮圧する。この機械については本誌18・20号「女化通信」及び19号「畑用ハロー特集」でも紹介しているのでご参考願いたい。

 梅雨明けの暑く土壌の乾燥しやすい時期になる冬ニンジンの播種は、発芽時に乾燥害を受けやすい。ロータリで過剰な砕土をしたままだと畑からの水分の蒸散も激しく、さらに毛管現象で土層の表面に肥料分が上昇し濃度障害が起きることもあるのだ。だからこそ、プラウでの大きな土塊のままの耕起と、砕土の後には確実な鎮圧が必要なのだと瀧島さんはいう。

 縦軸ハローでの作業は、砕土率も優れ、ローラーで締めた後の土層表面に、機体後部の土止め板の上をオーバーフローした細かな土が被さっていく。瀧島さんはその土層形成に満足しているようだ。また、鋤込んだ緑肥を掻き出すようなこともない。


オリジナル播種機の開発


 そしてもうひとつ、今回のニンジン作りのポイントは、瀧島さん自身のアイデアから生まれた播種機にある。

 この開発は女化の高松さんの所で行なわれた勉強会がきっかけだった。高松さんが初めてのニンジン作りのために先生役として来ていただいた瀧島さんが、高松さんが入れた多木(現在はアグリテクノ矢崎に社名変更)のロール式播種機「クリーンシーダ」(18号「女化通信」で紹介)の播種精度を見たことに始まる。それを見た瀧島さんは、スガノのパワーハローに組み合わせ、もうひと工夫すれば具合の良い播種機になると考えたのだ。

 完成したのが写真5のセットだ。パワーハローの後にもう1本のプラスチック製の大径鎮圧ローラを取り付け、さらにその後方にロール式播種機「クリーンシーダ」を組み合わせたものだ。パワーハローの螺旋ローラだけでは播種精度が上がらないという考えからだ。

 播種時には、条間14cmの6条で株間を6.5cmに設定し、畦間を60cmに開けた2畦12条を一工程で播種する形とした。条数の変更も可能だ。

 収量をとるために単位当たりの株数を最大限に増やしたい。さらに形状や品質を揃えるには、正確な1粒播きでの播種密度と播種深さを得たい。土壌の水分状態を安定化させるためには鎮圧も必要だ。間引きも無くしたい。それで株間、条間が揃い、1本ずつ一斉に発芽すれば秀品だけのニンジンが取れるからだ。緑肥、プラウでの反転耕起、砕土・整地・鎮圧にこだわるのもそのためだ。

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