記事閲覧
【自分の畑は自分で診断する】
リン酸
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第26回 1997年12月01日
- この記事をPDFで読む
農業指導のあるべき姿
予防医学というものが最近ようやく注目されはじめたようです。成人病が生活習慣病と呼ばれるようになり、納得のいく流れとは思っていたのですが、時間に余裕のある人達を中心に、予防医学をお金を支払っても受けようとする人が出てきたということです。
そのやり方というのは、まず根本原因の、日頃の運動不足からくる代謝異常を人間本来のレベルに上げ、しかも長く継続させるということが第一ポイントのようです。時間をかけて歩く、しかも何人かの同じ目標を持った人々を集め、その仲間意識を育てながら続けさせるのだそうです。普段あまり使わない部分の運動も、プールにおける水の浮力を利用するなどの方法をつかい、頭では理解していても誰かインストラクターがいないとできないのが人間ですが、これを解決しているようです。
この予防医学のお医者さんが言うには、病気になった時にその痛みから解放してやる医者は感謝もされ、素直にお金を支払ってもらえるけれども、人が病にならないように、元気なうちから「大きなお世話」をする予防医学は、時としてけむたがられる存在であるということです。そしてその医者は最後には、薬を出す医療の方が簡単ですよと言っていました。
この予防医学の展開は、現在の農業指導のあり方と大変よく似た現象だと思います。まず、土壌がおかしくなってから手を打つことは、金を払っても受け入れられますが、事前に人が大きなお世話で忠告しても、嫌われるぐらいのものです。
またそんな行為は、指導する側も受け入れる側も長続きするものではありません。農協組織も行政組織も無料で農業指導を行ったことで、結果的に最もその恩恵を受けるべき農業生産者に、受け入れられないこととなってしまったのです。だからといって今すぐ有料の農業指導が成り立つものでもないでしょう。
それであるならばどうしたらよいか。まず一つには、生産資材の販売の方法を改善し、その中に組み込んでいくことが考えられます。
生産資材も今や単体だけでは売れるものではありません。それは一つの農業のシステムとなっていないと受け入れられないものであり、さらに言及するなら、生産物の販売までの一連の流れがライン上につながっていないと、導入されていかないのかもしれません。また農産物の品質とロットをまとめ上げていくためにも、現場指導という手間のかかる仕事から逃げることはできないはずです。
それであるならば、この一連のシステム化される農法、これにかかわる生産資材、これが肥料であれ、農業機械であれ背景に使用上のソフトが必要となるはずです。
会員の方はここからログイン
関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
自分の畑は自分で診断する
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)