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土門「辛」聞

民主党政権が近づくほど、バラマキ農政が先祖帰りする

 あ~、もういけない。このビジョンが実現すれば、ヤマト運輸も佐川急便もペリカン便もゆうパックもトラックが足りなくなるぞ~。

 民主党政権になれば、誰が農水大臣になるか、農水官僚の興味(不安か)はこの一点にある。英国の政治慣例に従えば、政権交代になると、影の内閣(日本ではネクスト内閣)の大臣が就くことになっている。ネクスト内閣の農水大臣は、筒井信隆代議士だ。上越地区などを地盤とする新潟6区が選挙区。手許の極秘資料(週刊文春10月9日号の切り抜きじゃ!)の当落予測では、当選確実の「○」がデーンとついている。旧社会党系だが弁護士資格を持つ「刻苦勉励の士」という立派な代議士との人物評である。

 6次産業化ビジョンはがことのほ筒井代議士がご執心である。とっておきの参考事例もある。代議士のお膝元、つまり上越地区にも、米加工に乗り出されて「大火傷」された生産者がおられる。あるいはわざわざご紹介するに及ばないかもしれない。風聞によれば、確か代議士が昨年7月に「民主党『次の内閣』IN新潟」を地元上越市で開催した際、乾杯の音頭をとられた(未確認)とかで、先刻お顔見知りの方ではないかと承知するからだ。

 この方は、旧食管時代に大規模稲作のチャンピオンとして農業界ではつとに知られた方だった。当時(20年前)に「この地域の田圃を100ha集める」と夢を語っておられたのを今でも思い出す。魔がさしたのか、農水官僚の甘言に乗せられて、旧農林公庫から巨額の融資を受けて加工米飯事業を手がけられたが、事業スタートほどなくプロの企業(新潟にはたくさんありますよね)との競争に敗れて不幸にもグロッキーになってしまわれた方である。

 もし加工米飯事業に乗り出さなければ、いまごろは当初の夢を実現して上越の輝ける星、いやニッポン農業の救世主になられたと、筆者は秘かに思っていたのである。この方の「失敗の本質」を筆者なりに説明すれば、スーパーの流通ルートに乗せるような米飯加工は、所詮、プロの業者に品質とコストでは絶対に叶わないということになる。

 断っておくが、筆者は何も6次産業化のすべてを否定しているわけではない。中山間地のようなハンデキャップ地域には、一つの解決策になり得る方策かもしれないと思っている。ただ筒井代議士は、いまや麻雀で喩えれば、念願の大臣ポストにリーチ(少々、早ヅモの気配もあるが)のポジションにあられる。

 もし念願の大臣ポストに「ロン!」ということになれば、ファーマーズ・マーケットのようなしょぼいことは市町村の農政担当者にお任せになられて、いかに1億3000万人の国民に食料を安定的に供給するか、農水大臣本来の職責を果たしていただきたいと思うのは筆者だけではなかろう。

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