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【農業経営者ルポ「この人この経営」】
これぞ韓国の農業の強さ!志高き生産者と農協組合長の二人三脚
- 農業ジャーナリスト 青山浩子
- 第35回 2002年05月01日
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人がやった後では遅い
「彼は日本の種苗メーカーの間で有名な人です」白さんを紹介してくれた韓国農民新聞の記者からこういわれて「相当やり手な農家」を勝手に想像していた。ところが実際に会った白さんは、優しそうな笑みを浮かべ、ひょうひょうとしていた。
ハウスを見せてもらった。以前はキュウリも作っていたが、ここ数年はトマトとミニトマトに専念している。いまや韓国でできるトマトの9割は日本の種によるものだ。ミニトマトに至ってはほぼ100%がそうだ。白さんの作るトマトは「ろくさんまる」と「桃太郎」、ミニトマトは「サンチェリー」など。
ハウスはバラエティに富んでいる。4000坪のハウスのうち、800坪が養液栽培、残りが土耕栽培。土耕の一部は養液土耕のスタイルをとっている。
「養液栽培は味がよくないといわれているけど、そうは思わない。将来的には土耕と同じような品質のトマトができると思う」
養液栽培のハウスを訪ねると、一つの列は密植栽培になっており、通常の2倍の苗が植わっていた。国内ではまだ誰もやっていないという。「まだ学界でも発表されていない。でも、発表されて他の人がやった技術をマネするようでは遅いからね」
「最初はいやいや農業をやっていたんですよ」。白さんは照れながらこれまでの道のりを話してくれた。
学校を出てすぐに両親の手伝いでトマトなどを作り始めたものの、全く魅力を感じなかった。10年間の悶々とした生活から抜け出すため、1980年から中東に出稼ぎに行く。韓国では外貨獲得のため、70年代から建設ラッシュの中東へ労働者を大量に送り込んでいたのだ。
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青山浩子 アオヤマヒロコ
農業ジャーナリスト
愛知県岡崎市生まれ。京都外国語大学英米語学科卒業。日本交通公社(JTB)勤務を経て、韓国延世大学に留学。帰国後、(株)船井総合研究所などに勤務。在職中、農業関連のコンサルティングに携わる。1999年に独立、農業関連のフリージャーナリストとして活動中。著書に、『「農」が変える食ビジネス』(日本経済新聞社)、『農産物のダイレクト販売』(共著、ベネット)、『強い農業をつくる』(日本経済新聞出版社)がある。農業関連の月刊誌、新聞などに記事を連載する一方、茨城大学農学部の非常勤講師、韓国農民新聞の客員記者も務める。
http://aoyama.my.coocan.jp
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