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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

ラトビア 種子収量の多い独自品種を開発し、栽培の自由化が拡大を後押し

バルト三国の中央に位置するラトビアは、北はエストニア、南はリトアニア、東はロシア、ベラルーシと国境を接し、西はバルト海に面した国である。近年は若年層の西ヨーロッパ諸国への人口流出が激しく、人口は191万人(2020年)にまで減少している。
国土面積は日本の中部地方ぐらいで、西部は平坦で最高点の標高はわずか311m、東部は低い丘陵性の平原が占めている。労働人口の約15%が従事する農業は畜産のほか、穀物やジャガイモ、ビートなどの畑作、野菜・果樹の生産が伝統的に行なわれてきた。
中世から北部ヨーロッパ航路の要衝であり、首都リガはバルト海沿岸の貿易を掌握していたハンザ同盟の拠点でもあった。イギリスのエリザベス女王が2006年にリガを訪問したときに、同国とフランスのナポレオンが戦ったトラファルガーの海戦(1805年)で勝利に導いたのは、帆船の防水剤に使うピッチ(天然樹脂)、マストに用いる松、ロープ原料のヘンプをリガで補給できたからだと語ったという。欧州の他国と同様に帆船に用いるロープや布を製造するためにヘンプを栽培・加工し、国内用途に限らずヘンプ製品を輸出していた同国の歴史に触れたエピソードである。

栽培・加工・研究の中心はラトビア産業用ヘンプ協会

ラトビアはソ連崩壊後の91年に独立した後、04年にEUに加盟した。ヘンプの法制度は、96年10月15日に 内閣規則第401号によって栽培許可の手続きが定められたが、その時点では注目されていなかった。2000年代に入り、欧州のヘンプ産業の動きに着目したのは、農家のグンティス・スラッシュ氏である。07年に5haで試験的に栽培して手応えを得た同氏は、翌年には約100haに栽培面積を拡大し、周辺農家にも試験栽培を呼びかけた。

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