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特集

ラウンドアップマックスロードの5リッター少水量散布という除草技術がもたらす経営的可能性

本誌では、2019年6月号で「ラウンドアップの風評を正す」、続く7月号では「さらにラウンドアップの風評を正す」という特集を組んだ。ラウンドアップ(有効成分:グリホサート)に対するさまざまな批判があればこそ、世界中の規制当局より他に類を見ないほど多数の検証が行なわれ、「現時点ではグリホサートに発がん性は認められず、ラベル表示された方法に従い適正に使用する限り、ヒト及び環境に対し悪影響を及ぼすことはない」(アメリカ合衆国環境保護庁)という見解が示されている。逆にいえば、最も安全性の高さが検証された除草剤であるにもかかわらず、ラウンドアップへの風評被害は収まらない。良識ある農業者の経営に支障を来すことにもなりかねないとの判断からの先の特集だった。
それを受けて当社では、食と農に関する情報をフェアな立場で提供するサイト「AGRI FACT」を立ち上げた。

そうしたなか、今回はグリホサート系除草剤全般ではなく、三世代目の「ラウンドアップマックスロード」に焦点を絞った企画を届けることにした。この製剤だからこそ実現できる、専用ノズル「ラウンドノズルULV5」ブームスプレーヤ用を用いた、従来の約20分の1という散布水量による少量散布(5リットル/10a)が、除草技術の経営的可能性に満ちあふれていると認めたためだ。以後、不定期で適用作物ごとにシリーズでも取り上げていく。


Part1 ラウンドアップマックスロードと新技術

いまや日本一ジェネリック剤が多いといっても過言ではないラウンドアップ。最新のラウンドアップマックスロードは三世代目に当たり、世代が代わるたびに効果を高めてきた。そのラウンドアップマックスロードに新技術として専用ノズルのラウンドノズルULV5が開発された。まずはこの技術的背景に迫りたい。

【吸収力が違う ラウンドアップマックスロード】

茎葉処理除草剤のラウンドアップ(グリホサート系除草剤)は、最新のラウンドアップマックスロードで三世代目になる。日本では1980年に初代のラウンドアップが上市された。
「葉から入って根まで枯らす」「かけた雑草だけ枯らせる」「土に落ちると効果がなくなる」「土に落ちると微生物に分解される」「アミノ酸系除草剤で高い安全性」
これらはグリホサート系除草剤全般の基本特性になる。その初代ラウンドアップの有効成分であるグリホサートイソプロピルアミン塩は、特許で保護される期間が過ぎたため、たくさんの会社から同じ有効成分のジェネリック剤が販売されている。
以後、世代が代わるたびに有効成分の塩基と界面活性剤が改良されることで効果を高めてきた。ラウンドアップマックスロードについては、従来の製剤に比べ活性成分の吸収力が優れているため(図1)、より確実に根まで枯らせる優位性を持つ。それによって従来品が散布後6時間以内の降雨に効果が劣る場合があるのに対し、ラウンドアップマックスロードは散布後1時間経てば確かな効果を発揮することが(財)日本植物調節剤研究協会研究所の試験(2006年)で明らかにされている。散布後のロータリーハローなどでの耕起ということでは、初代は10日後に可能、二世代目のラウンドアップハイロードが3日後に可能だったが、ラウンドアップマックスロードは翌日でも可能になった。散布翌日では雑草はまだなんの症状も示していないように映るが、実際は薬液がしっかりと吸収されて根まで移行しているため、耕起で地中に埋められた雑草も再生することはない。また、雑草の活性が低い低温時に散布しても、朝露が付いた状態の雑草に散布しても、実効性があることが別の試験で証明されている。

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