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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

国際連合 産業ヘンプの報告書を国連機関が初めて発行

22年11月に国連貿易開発会議(UNCTAD)が新たな報告書として『一目でわかる商品・産業用ヘンプ特集』を発行した(図1)。これまでも国連機関は医療用大麻や嗜好用大麻に関する報告書を多数発行してきたが、1990年代から欧州やカナダで環境と健康にやさしいと注目されてきた「産業用ヘンプ」を取り上げたのは初めてのことである。今回はこの報告書の内容を紹介する。
興味深いのは、報告書の発行元が開発途上国の貿易、投資、開発の機会を最大化する支援を行なう国連機関であることだ。近年、南米やアフリカ諸国でもヘンプ栽培の合法化が広がっている現れである。同報告書では、過去には竹やカシューナッツ、コーヒーなどの農産物のほか、燃料電池原料やシェールガス、アラビアゴム、金などを取り上げている。

国際的な統計が実態に 全然追いついていない!

報告書は6つの章から構成されている(表1)。
第2章では、ヘンプの一般的な用途とそれらが国際的な生産・貿易統計にどのように反映されているかを論じている。ヘンプの国際貿易における法的地位は、1961年麻薬単一条約第28条第2項の「専ら産業上の目的(繊維・種子)、園芸上の目的には適用しない」と明記され、薬物規制の対象外である。専らマリファナ成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の濃度基準で規制しているが、各国の法律によって0.2~1.0%の範囲で差があり、国際的に統一されていない。
また、国連加盟193カ国のうち、報告書に記載のあるヘンプ栽培国は40カ国で、用途別に繊維が28~30カ国で、ヘンプシード(子実)が14~16カ国という。ヘンプは寒帯から熱帯まで幅広い気候で栽培できるが、日本のようにまだ法律で栽培を原則禁止している国も多い。また、この連載では51カ国を紹介してきたが、栽培が始まったばかりの国の状況は国際的な統計情報に反映されていない。

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